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ラジエターとは必要のない熱を外部に放熱する装置で、クルマのエンジンを冷やすのにも使います。山田教授のアイディアは、水で冷やすのではなく、熱の伝わり方が水の10倍もある鉄でできた格納容器そのものを、空冷ラジエターとして使います。

 

山田教授は原子核物理、加速器、放射光の専門家で、特に量子力学の分野できわめて優れた実績があります(略歴などは下記)。

 

●手順

①一定の水圧をかけた水とともに、鉛の粉末あるいは微小なボールを冷却水投入口から投入します。鉛は水流にそって圧力容器、格納容器、そして破損口から外部に流れます。この過程で水より重たい鉛は、溶けた核燃料に落ち、全体を少しずつおおいます。

 

②おおいかぶさった鉛の量が増えて、燃料が水と接触しなくなると燃料の温度が上がり、鉛は溶けだし(300℃程度で)さらにスムーズに燃料全体をおおいます。この段階でも、放射能が冷却水に移る割合が減るでしょう。

 

③燃料の量と、鉛の量が理想的な状況になると、水を止めます。すると比熱(温度を上げる必要なエネルギー)が小さい鉛は、熱を効率よく格納容器(鉄)に伝えます。鉄も比熱が小さいので、格納容器全体から放熱がおきます。夏でも格納容器の温度が200℃以下で平衡状態に達します。つまり温度はそれ以上には上がりません。冬場とか雨が降れば40度以下でバランスします。

 

●メリット

1)冷却水(地下水と別に400トン/日)による汚染水がなくなる

2)上記汚染水がなくなると、地下水の汚染も激減する

3)空冷なので維持費が掛からない

4)鉛によって放射線が遮断される

5)核分裂の連鎖反応を起こさせる水がないので安全

6)100トン程度の鉛を投入するだけなので安価

 

政府・東電は、いまだ具体的な対策を何ら用意できません。日々、危険が急速に拡大しています。山田教授はこのアイディアを2011年6月11日から政府に訴えているのです。

 

 

山田理論(最終).jpg

 

 

 

 

 

 

ヘッド4.jpg

 

水を使わなくても、冷却できます

 

高橋

まず、このアイディアの根幹は『鉛を使う』というよりも、格納容器全体を、『溶解した燃料の冷却ラジエターにしよう』ということだと理解しました。教授は、鉄でできた格納容器の表面積の一部である30平米(実際は完全な球体で計算すると380平米程度ある)の放熱効果で、厳しめに見ても200度の平衡状態が得られると計算されています。つまり、水による冷却は必要ないということですね。理論は後ほどにしまして、最初に手順を説明していただけますか。

 

山田教授図1.jpg

おっしゃる通り、これは格納容器そのもので冷却する方法です。ただし、いきなり水を止めると、燃料と鉄の接点が限定され、放熱よりも鉄の融解が起きてしまいます。これを回避するためには、格納容器と接触する面積を大きくして熱の伝導をゆるやかにさせる必要があります。これに『鉛』を使います。最初に一定の水圧をかけた水とともに、『鉛』の粉末あるいは微小なボールを冷却水投入口から投入します(図1)。『鉛』は水流にそって圧力容器、格納容器、そして破損口から外部に流れます。この過程で水より重たい『鉛』は、溶けた落ちた核燃料に堆積し、全体を少しずつおお
います。

 

高橋
『鉛』である必要はありますか。他の金属ではどうですか。

 

山田教授図2.jpg

『鉛』は、融点(溶ける温度327.5°C)が低く、格納容器の鉄が溶ける前に(1538°C)溶けてしまいます。しかも放射線を遮断する効果が一番高いので、もっとも理想的なのです。ただし、重すぎて格納
容器が持たない場合にはスズやアルミなどとの合金も考えられますが、放射線を遮断する効果は低下します。また、有毒な鉛が蒸発する危惧もあるようですが、格納容器に遮断されているのでそれほど危険だと考えていません。

さて、徐々におおいかぶさった鉛の量が増えてくると、燃料が水と接触しなくなります。すると燃料は崩壊熱で温度が上がり、鉛は溶けだします。液体になった鉛は、スムーズに燃料全体をおおいます。この段階でも、放射能が冷却水に移る割合が減るでしょう(図2)。

 

高橋

汚染水の元凶は、地下水のような印象を持っている方もいます。しかし、水は二系統あって、ひとつは地下水が一日400トン、もう一つが燃料の温度をあげないように冷却水が事故当時から毎日300~400トン注入されています。格納容器に燃料が残っているとすると、この冷却水が燃料と接触して汚染水の元凶になっており、これが普通の地下水と混ざっていると考えられます。

 

山田教授(図3)鉛から格納容器全体に熱が伝導.jpg

私は、このアイディアを事故が起きた2011年6月11日から政府に提案しています。なぜ水で冷却するのか。なぜ水で放射能を外部に持ち出すのかと。放射能を持ち出したら汚染が広がるばかりです。

水を使わなくても冷却できます。鉛の量と燃料の量が、理想的な状況になると、水を止めるのです。すると比熱(温度を上げる必要なエネルギー)が小さい鉛は、大きな面積で熱を効率よく格納容器(鉄)に伝えます。鉄も比熱が小さいので、格納容器全体から放熱がおきます。夏でも格納容器の温度が200℃以下で平衡状態に達します。つまり温度はそれ以上には上がりません。冬場とか雨が降れば40度以下で安定します(図3)。

 

 

鉛で、核分裂による不測事態の心配はない

高橋

ご説明ありがとうございます。ところで、以前から非常に疑問に思っていたことがあります。普通、火事が起きると水をかけます。ですから、事故当時ははやく水をかけろ、と思っていました。しかし、勉強してみると通常の運転時に原子炉で水を使うのは核反応を促進するためだ、と知りました。つまり、汚染水が増えるという問題とは別に、冷却に水を使うということは火に油を注いでいるのではないかと。

 

山田教授

ウランから出る中性子は非常に大きなエネルギーを持っていますから、そのままでは近くのウランとうまく連鎖反応をする間もなく外に飛んでいきます。この中性子の速度を落とすために減速材として水を使います。水を構成する水素は、中性子の速度を減速させ、核分裂を促すのです。ですから水は冷却材と減速材というふたつの性格があります。一刻も早く、水による冷却はやめるべきです。

 

高橋

ところで、ウランの核分裂の中に、他の金属を入れると、別の核分裂が起きて不足事態は起きませんか。

 

 

写真②.jpg山田教授

鉛という物質そのものは核分裂しません。また、先ほどの話で減速材は核分裂を促進しますが、減速材は軽い物質である必要があります。鉛は重たいので、減速材の役割を果たせません。もちろん、中性子が発生したら鉛に限らず、すべてのものは放射化します。しかし、これは核分裂ではありません。鉛で核分裂による不測事態を心配する必要はありません。

 

 

 

高橋

汚染水が大きな問題となって、それは今になって急にどこからか事故に乗じて地下水がやってきて、これが原因というイメージですが、地下水は事故前からあります。原発には『サブドレン』というものを建屋周辺に設置しています。これは建屋底部への地下水の流入の防止や、建屋に働く浮力の防止を目的として、ポンプで地下水をくみ上げ、地下水位のバランスをとります。事故前には、1号機から4号機のサブドレンで、約 850 立米/日の揚水を行っていました。これが、稼働することができなくなって新たに井戸を掘削しているのですね。ですから、地下水はあらかじめ与えられた条件です。むしろ汚染水を作る元凶となっている冷却水を使うことはやめるべきですね。

 


 

遮水壁で周辺を囲むより、燃料そのものを囲む

 

山田教授図4-a2.jpg

この方式は、仮に溶けた燃料が格納容器を突き破り、さらにコンクリートを抜けて、完全にメルトスルーしていた場合でも、効果が期待できます。燃料自体は非常に重たいので、バラバラに落ちてもどこかで集まりひとつの塊になっていると考えられます。ここに鉛が沈殿すると格納容器の中と同じように鉛は液体になります。この鉛が燃料を包み込んで、地下水との直接的な接触を回避することが期待できます。遮水壁で建屋の周辺を囲むのではなく、燃料そのものを鉛で囲みます(図4-a)。

 

高橋

ウランは鉛より重たいですから、鉛は燃料の上部にしか溜まらないのではないですか。

 

山田教授図4-b2.jpg

ウランは液体状態にはなっていません。ウランの融点(1132°C)を考えても、少なくとも現在は、水で冷やされているので個体で存在すると思います。鉛はウランに接触すると、すぐに液体になりますので、流れるようにウランを包み込むでしょう。地下水への放射能の移転は激減するでしょう(図4-b)。


高橋
 

教授、燃料の位置を特定する必要がありますね。

 

山田教授

宇宙を観測するのにX線を使う技術があります。

 

高橋

ガスなどの遮蔽物がたくさんあって、天体望遠鏡では決して見ることができない天の川銀河の中心を観測し、巨大なブラックホールがある、ということを見つけた技術ですね。

 

山田教授

その技術を使うと、強烈なX線を放つ核燃料の位置が分かると思っています。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の方が、汚染地域をこのX線カメラで見て、放射能のありかを特定しています。物理学会誌に発表していました。解像度は期待できませんが、位置の特定はできると思います。

 

高橋

さて、一番面倒な計算の話ですが、その前提は

1)100トンの核燃料が、圧力容器あるいは格納容器の鉄の中にある
2)その崩壊熱は1MW(メガワット)である

となっています。

 

山田教授

写真③.jpg

私はこの計算はかなり厳しめにやっています。空気中への放熱だけを計算し、物質から物質に伝わる熱伝導は省いています。実際には、たぶん200℃ではなく、100℃もいかないと思います。これはきちんとシミュレーションできます。どのくらい重さに耐えるのかという構造計算も必要です。重すぎるときは合金を検討すべきです。

 

 

  

 

 

★山田教授が主催する

『民間福島原発事故収束委員会』からの呼びかけ

http://blog.goo.ne.jp/minnkannjikosyuusokuiinnkai

 

民間福島原発収束委員会は、上記で説明しました方式を政府及び東電に理解させ、早い時期に実現させるために設立しました。収束委員会は超党派で運営し、参加者が自らの手で原発事故から人と自然を守るために活動することを保証するために設立しました。

 

参加者は原発を収束するために研究及び広報活動を行います。より多くの人が参加すれば、より正確な判断ができるというのが、民間方式の意義です。放射能・放射線事故から自らを守る市民の立場で、市民の安全確保と健康を目的として、事故処理に対する監視と有益な理学・工学的・社会的な知見を政府、東京電力をはじめ事故処理にあたる諸機関に働きかけ、迅速な措置を求めます。

 

活動への参加希望者は、お名前、連絡先(e-mail、電話、住所)、年齢、性別を入力のうえお送り下さい。賛同するだけもご友人にお知らせくださるだけでも歓迎です。数が力になりますからお名前をいただけますように。会費は不要です

shuusokuiinkai@yahoo.co.jp

 

発起人:山田廣成(新方式の発明者、立命館大学教授)、上原正勝(元大阪原子力安全管理事務所所長)、月谷小夜子(日本ペンクラブ会員)

 

 

 


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■山田廣成(ひろなり)氏の略歴

1946年 名古屋市瑞穂区に生まれる(66歳)

1970年 名古屋大学物理学科卒業

1975年 名古屋大学原子核工学研究科博士課程修了

1973~1976年 東大原子核研究所にて核構造研究

1976年 博士号取得

1976~1982年 オークリッジ国立研究所

1983年 オーストラリア メルボルン大学物理学科

1986年 住友重機械工業・量子技術研究所

1993年 立命館大学理工学部教授に就任

1997年 ㈱光子発生技術研究所設立

2002年 文科省21世紀COE拠点リーダーに就任

2007年 科学技術分野における文部科学大臣表彰を受賞

2011年 ㈱光子発生技術研究所 代表取締役就任

 

●所属学会

物理学会会員。自由電子レーザー研究会、原子力学会加速器部会、加速器学会年会、放射光学会年会、それぞれ組織委員。

 

 

 

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私たち大人が、自主避難コストを負担すべき

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福島県からの自主避難の数は、正確なものはなく推定値が使われます。NHKでは避難区域から8万5人、自主避難7万人、合わせておよそ15万人以上としています。図は、福島県を放射線(文部科学省調査)の強さで地域分けし、そこに住む0歳から14歳の人口減少率を示したものです。明らかに、放射線が強いほど、減少率が高いことが分かります。

 

長期的な同年齢群の減少率は、年間1%程度ですから、この減少は人口移動つまり「自主避難者」と考えられます。福島県全体では15万人が減少しています。また、この傾向は福島県にとどまらず、線量の高い栃木県日光市では7.2%減、那須町11.6%減という状況もあります。明らかに、自主避難のニーズはあるのです。

 

私たちは先の投稿で、追加線量1mSv/年(正確に0.87)を超える地域に居住する、0歳~14歳の人口を、およそ40万人と推定しました。この子どもたちが、避難できる選択権を得ようとすると、どのくらいのコストが必要なのでしょうか。

 

東電が賠償として、指示避難(強制)をしている人、あるいは自主避難地域の人に、一定額支払っていますが、妥当とは思えずここでは参考にしません。仮に、避難生活への支援として一人の子どもに月額10万円を支払うと、毎年4800億円が必要です。10万円が少ない、あるいは多いと思われるならいろいろ計算してください。

 

4800億円は、毎年必要な金額です。拡大された復興予算25兆円で一部を吸収する方法もあるでしょう。規模の参考に税収では、たばこ税は8270億円、消費税5%で13兆4900億円です。また、東京電力の売上高は5兆1078億円(電気事業)で、およそ10%程度の電気料金の値上げでこれを吸収できます。

 

子どもを助けるということは、大人がせめて、そのコストを負担するということでしょう。東京都民の私は、子どもの避難のための10%の電気料金値上げを受け入れます。それでも、家族が分断されることや、ふるさとを離れることの痛みは、負担できないのです。まして、これまで被ばくした身体を思うと、泣いて謝ることしかできません。

   

 

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< 解説 >

 自主的避難を握りつぶそうとする、国、そして東電

自主避難に関する数値を、正確に把握しない国や自治体に対して大きな不信感と憤りを感じます。しかも、避難の理由があたかも放射能に由来するものでないように、調査では詳細な実情報告もありません。一方で、「年間20ミリシーベルトでも大丈夫」と国は大宣伝をしているのです。

 

東電の賠償額は実情を解決できるものとはとても思えません。国によって『自主的避難等対象区域』(下部地図)と認められた地域からの自主的避難者に対し、事故発生から平成23年12月末までの損害として以下を一次賠償しています。

  ① 子どもと妊婦

     1人40万円を目安とする。

  ② その他の自主的避難等対象者

     事故発生当初の時期の損害として1人8万円を目安とする。

 

そして、平成24年1月1日から同年8月31日の間に、二次賠償の受付をしています。(下部表①)大人2名と子ども2名のケースでは、慰謝16万円、費用に対する賠償4名×4万円=16万円、合計で32万円です。これは毎月ではありません、あくまで1回だけです。しかも、この賠償金を受けとると今後の請求が一切できない、という条件がつきます。このほか『県南地域』はこの賠償額よりさらに減額されます。まして、福島県以外の地域では一切認められていません。

 

一方で、こうした理不尽な対応に対して、『自主的避難等対象区域』から外された『県南地域』の白河市から、損害賠償を申し立てた自主的避難者がいます。東電は、慰謝料を含め、計134万7190円を支払うことになりました。

 

 

「避難区域外からの避難者、東電が170万円賠償 」(読売新聞) 2013.4.17

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130417-OYT1T01012.htm

「初の賠償実現、東電と和解成立」(IWJブログ)2013.4.22

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/74563

 

「自主的避難等に係る損害に対する追加賠償について」(東電)2012.12.5

http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1223477_1834.html

 

●『自主的避難等対象区域』:http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120228e.pdf

福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、相馬市、新地町、いわき市)のうち避難等対象区域を除く区域

 

●『県南地域』:

白河市、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村

 

 (地図) 自主的避難 賠償対象地域

東電賠償地域.jpg

 

 

 (表①)

 

賠償額2.jpg

 

 

 

(表②)人口減少

人口減少数.jpg

エクセルデータ:空間線量別人口インパクト20013.6.4.xlsx

 

< 資料と計算方法 >

 

① 市町村の線量区分

資料は、文部科学省の「放射線量等分布マップ」(航空機モニタリング等)を用いています。

   1) 細かい地図から市町村を読みとる

   2) 該当市町村の空間放射線量を読み取る

   3) 森林などある場合は、生活圏の数値を読みとる

   4) 生活圏で線量が分かれる場合は、高い値を用いる

   5) ただし、高い値は全体の2~3割以上とならないときは、低い値を用いる

 

事前に民間の線量調査と文部科学省のデータを部分的に比較し、大きな差異がないとことを確認しています。ただし、民間の調査は2011年当初は多くの地域で行われていましたが、現在は極めて限定的であり、全国的調査には使えませんでした。

 

     文部科学省:放射線量分布マップ   http://ramap.jaea.go.jp/map/

 

 

② 年間線量への変換

取り上げた放射線量は、事故とは関係ない自然界の放射線は差し引かれており、その意味で原発事故による「追加被ばく」という計算をしています。この計算では外に8時間、建物の内部に16時間(遮蔽率0.4)という、環境省の考え方を採用しています。計算方法で議論をしないためです。

 

     ★時間あたりを年間に変える換算率:「1mSv/年=0.23μSv/時間」を使用

    http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18437&hou_id=14327

 

 

③ 市町村人口

震災前と震災後の数値を比較することを念頭に置いていますので、国勢調査などは使えません。そこで、各県から発表されている数値を用いました。しかし、公開内容は県によって異なり、共通して比較できる数値は以下のように限定されました。

   1) 震災前2010年10月、震災後2012年10月

   2) ただし、この期間の数値の発表のない県はそれ以外を使用。詳細はエクセルデータに記載

   3)年齢不詳人口」を除外した

  4)各市町村からの報告により作成している年齢別3区分調査のため、住民基本台帳の集計方法により    

   県市町村課で取りまとめる住民基本台帳人口とは異なる場合がある

 

 

④ 避難地域の取り扱い

国によって避難指定されているところは、現在、「帰還困難地域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」「計画的避難区域」と分類されており、その該当地域は常に変化しています。      http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html

 

   1) 原則2012.2.18時点のデータを用いるhttp://f-renpuku.org/?p=789 

   2) 上記より、震災前人口と比較し、明らかに全員が避難している考えられる場合は、その値をゼロとした

   3) その後、一部の高線量地域で帰還している人がいるが、これは今回の調査からは除いた

 

⑤ 長期的人口の減少と増加

なお、0歳~14歳までのグループは、日本全体で長期的に減少し、逆に65歳以上は増加しています。したがって、単純に増減を議論できません

1)0歳~14歳、2001年前年比98.8%、2002年98.9%、順次98.9%、99.0%、99.2%、99.1%  、99.2%、99.3%、99.0%、2010年99.0%

2)65歳以上、2001年前年比、2002年103.8%、順次103.3%、102.9%、102.3% 、103.6%、103.3%、103.2%、102.7%  、102.8%、2010年101.7%

 

 

 

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40万人の子どもと、放射線

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0~14歳の子どもたち約40万人が、原発事故による追加の年間放射線量1ミリシーベルト以上(正確には0.87)にさらされています。さらに、2ミリシーベルト(正確には2.17)以上は、12万2千人で、すべて福島県です。これは、もともとある困難ではなく、福島原発事故によって、おとなが作った人為的困難です。いま、この困難を子どもたちに背負わせようとしています、私たちと、この国は。

 

二人の女性がGWや休日をつぶし、1ヶ月間調査したKAZEオリジナル資料です。全国の市町村を、文部科学省の放射線量別マップで分類し、該当人口を割り出しました。線量区分は文科省の区分であり、0~14歳で区切ったのは各県から公開されている共通データで、私たちの意図はありません(他の年齢群、市町村別などの詳細、計算方法などはWeb解説を参照下さい)。

 

ここであつかう量は、自然界にもともとある放射線を除いた、福島原発事故によって追加された、直近の追加年間被ばく線量(ミリシーベルト=mSv)です。今回は、被ばく=外部被ばく+内部被ばくのうち、外部被ばくに着目しています。また、人口は住民票をベースとしています。ただし、国による避難地域のみ2012年2月現在の数値を用い、その後、さらに高線量地域へ帰還した数は考慮されていません。

 

かりに追加線量1mSv/年を意識して、0.87 mSv/年以上に居住する0歳~14歳の人口(オレンジ、赤)を読みとると、福島県200,609人、宮城県5,853人、茨城県51,966、栃木県57,542人、群馬県27,787人、千葉県54,640人、合計398,397人、およそ40万人となります。2.17~4.35mSv/年に限ると(赤)、福島県で121,926人となります。

 

放射能感受性は、児童より幼児、幼児より乳児、とより小さな子どもほど高く、より深刻になると言われています。また、地域や年間で平均化するシーベルト計算だけでなく、ホットスポット土壌・水質の存在、そして吸引・食事などの内部被曝により着目する必要があります。

 

私たちは、「子ども」という代名詞ではなく、対象人数と該当地域を明らかにできる精密な調査を、政府に強く要求します。


 

6.4本文.jpg

 

 

< 解説 >

 福島原発事故による追加された放射能は、福島だけではない

 文部科学省による調査では、新たに福島原発事故によって追加された放射線量にさらされている、0歳~14歳の子どもたちは3,114,292人となります。この300万人にもおよぶ子どもたちが、大人の都合によって原子力発電所事故の責任を押しつけられようとしています。

 

今回、提示している数値はあくまでも外部被ばくの目安となる、空間線量です。しかし、これは被ばくの7割から8割が内部被ばく(吸引・食事)と言われている中で、まったく十分なものではありません。なぜ、空間線量に着目したかは以下の理由があります。

 

① 一般的に、これまで空間線量がひろく議論されてきたので、いったん、この方法で整理をする

 

② 政治的な課題として議論するには、取り急ぎ、対象となる人口をテーブルにのせる必要がある

 

③ 今回の調査が「不十分である」ということを明確にすることで、内部被ばくの焦点となる土壌、水質、

  食糧のベクレル単位の調査を一層促す

 

放射能は移動します。特定の地域でも風や水の流れによって、生活圏にもきわめて線量の高いホットスポットが生まれます。森林、河川、海にもこうしたホットスポットが生まれ、生態系に大きな影響を与えることが懸念されます。放射能との闘いは、より困難な段階に入っているのです。

 

 

震災後人口.jpg

 エクセルデータ:空間線量別人口インパクト20013.6.4.xlsx

 

< 資料と計算方法 >

 

① 市町村の線量区分

資料は、文部科学省の「放射線量等分布マップ」(航空機モニタリング等)を用いています。

   1) 細かい地図から市町村を読みとる

   2) 該当市町村の空間放射線量を読み取る

   3) 森林などある場合は、生活圏の数値を読みとる

   4) 生活圏で線量が分かれる場合は、高い値を用いる

   5) ただし、高い値は全体の2~3割以上とならないときは、低い値を用いる

 

事前に民間の線量調査と文部科学省のデータを部分的に比較し、大きな差異がないとことを確認しています。ただし、民間の調査は2011年当初は多くの地域で行われていましたが、現在は極めて限定的であり、全国的調査には使えませんでした。

 

     文部科学省:放射線量分布マップ   http://ramap.jaea.go.jp/map/

 

 

② 年間線量への変換

取り上げた放射線量は、事故とは関係ない自然界の放射線は差し引かれており、その意味で原発事故による「追加被ばく」という計算をしています。この計算では外に8時間、建物の内部に16時間(遮蔽率0.4)という、環境省の考え方を採用しています。計算方法で議論をしないためです。

 

     ★時間あたりを年間に変える換算率:「1mSv/年=0.23μSv/時間」を使用

    http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18437&hou_id=14327

 

 

③ 市町村人口

震災前と震災後の数値を比較することを念頭に置いていますので、国勢調査などは使えません。そこで、各県から発表されている数値を用いました。しかし、公開内容は県によって異なり、共通して比較できる数値は以下のように限定されました。

   1) 震災前2010年10月、震災後2012年10月

   2) ただし、この期間の数値の発表のない県はそれ以外を使用。詳細はエクセルデータに記載

   3)年齢不詳人口」を除外した

  4)各市町村からの報告により作成している年齢別3区分調査のため、住民基本台帳の集計方法により    

   県市町村課で取りまとめる住民基本台帳人口とは異なる場合がある

 

 

④ 避難地域の取り扱い

国によって避難指定されているところは、現在、「帰還困難地域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」「計画的避難区域」と分類されており、その該当地域は常に変化しています。      http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html

 

   1) 原則2012.2.18時点のデータを用いるhttp://f-renpuku.org/?p=789 

   2) 上記より、震災前人口と比較し、明らかに全員が避難している考えられる場合は、その値をゼロとした

   3) その後、一部の高線量地域で帰還している人がいるが、これは今回の調査からは除いた

 

⑤ 長期的人口の減少と増加

なお、0歳~14歳までのグループは、日本全体で長期的に減少し、逆に65歳以上は増加しています。したがって、単純に増減を議論できません

1)0歳~14歳、2001年前年比98.8%、2002年98.9%、順次98.9%、99.0%、99.2%、99.1%  、99.2%、99.3%、99.0%、2010年99.0%

2)65歳以上、2001年前年比、2002年103.8%、順次103.3%、102.9%、102.3% 、103.6%、103.3%、103.2%、102.7%  、102.8%、2010年101.7%

 

 

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地方は拒めたのか

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電力に関する法律の総称を「電源三法」と言います。原子力、水力、火力の電源開発が行われる地域に交付金が配布され、電源施設の建設・運転を促すことを含みます。実際は、原発推進をねらった法律体系です。

  

たとえば、数ある交付金のひとつ「原子力発電施設等周辺地域交付金」を福島県で見ると、対象は原発立地の大熊町や双葉町などはもちろん、周辺の隣接市町村も含まれ、県内11市町村に配分されています。この交付金の基本単価は、隣接市町村では立地市町村の2分の1となりますが、計算式は電気の需要規模に連動し、1981年から2011年までを見ると、原発立地自治体である双葉町が21億円であるのに対し、いわき市は同470億円にもなりました。

  

ところで昨年4月、すでに『廃止』(2012.3.30東電が届け出の提出)となっていた1~4号機に、大熊町は発電用の設備として約16億円の固定資産税を課税すると発表しました。壊れた原発に課税するのは哀れに見えてきますが、切羽詰っているのでしょう。

  

かつて福島のチベットといわれて、男は東京に出稼ぎに出ていた双葉町の歩んできた道を、どうとらえるかはいろいろな判断があります。しかし、強大な仕組みに取り込まれている原発立地自治体の欲望と葛藤を見つめる力がないと、真実は隠れ、私たちは分断されます。これは、放射能に汚染された地域も、同じことが言えます。

  

葛藤の結果は出ています。だまされた。ただ、その後の行動が大切だと思います。電力を使っていた東京都民も同じです。その意味で、前双葉町長井戸川氏の勇気ある発言と行動は未来を示しています。

 

 

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地表の活断層でだけでは、地震は見えない

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私たちは、地表にある活断層に注目しがちですが、NHKは地表のはるか下に多数の活断層があり、これが地震の原因になる、と放送しました。「あの巨大地震が残した膨大なデータが、活断層の研究を進展させ、未知の脅威を次々と浮かび上がらせている」(NHK)と。

  

原発は安全でしょうか。原子力規制員会は、4月10日、電力会社に義務づける新しい規制基準の案を決めました。11日から30日間、国民の意見を聞いたうえで修正を行い、7月18日までに施行されます。資料は2700ページ近く、専門用語、法律用語があふれています。

  

『NHKスペシャル』では、地表から場所により1~15kmも堆積層が積もっており、その地中深くにも活断層は存在し、これが地震を起こす、と主張しています。震度6弱を記録した13日の淡路島の地震も、地表に現れていない未知の活断層が疑われています。

  

新基準では、放射性物質を広範囲に飛散させる『過酷事故』が起ることをようやく認め、起きた後の対策を出しました。しかし、もっとも注目していたのは地震に対する検討です。当初、危うい活断層は40万年前まで見逃さない姿勢でしたが、結論は「12~13万年前」と従来のままでした。一方で、地震と津波の専門家チームは「これまでのやり方がそのまま通用すると思っているのは問題がある」と厳しい意見を多数述べています(解説参照)。いくら議論を重ね、資料を何ページも積んでも、肝心なところはこれまで通りです。

  

田中俊一委員長は「世界のレベルに負けないような規制基準になった」と言います。しかし、NHKの放送は、地表に現れた活断層が何万年前のものなのか、それが原子炉の真下なのか横なのか、そうした議論自体がすでに枠組みが小さ過ぎることを示唆しています。

  

世界でまれにみる地震大国、日本。

地震のない「世界レベル」(IAEA基準)でいいのでしょうか。

 

 

13027号

 

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< 解説① >

原子力規制委員会の新基準は、従来と同質

 そもそも、これまでの原発政策は、放射性物質が広範囲に飛散する過酷事故は起きない、検討すること自体が科学的ではない、としていたのです。福島の事故が起きた今回、これを初めて認めただけで、「世界のレベルに負けないような規制基準になった」(田中俊一委員長)と自慢できるようなことではありません。

  

田中俊一委員長は、稼働中の関西電力大飯原発3、4号機に対し、新基準をすぐには適用せず、6月下旬時点で安全を確認したうえで運転継続を認める方針です。重大な安全上の問題が見つかった場合は運転停止を求める、としていますが報告は関西電力がおこないます。また、北海道電力泊原発のような加圧水型軽水炉は、格納容器が大きく余裕があるという理由で、フィルター付きベント設備が、5年間猶予されました。中央制御室が使用不能となった際に機能を代替する特定安全施設についても、5年の猶予が認められています。

  

もっとも重大なのは、地震の考え方です。そもそもIAEA(国際原子力機関)では立地制限がありません。ですから、地震大国の日本では十分な独自の議論が必要なのです。規制委員会の専門家による地震・津波検討チームでは、厳しい議論が交わされています。ところが、地震への新しい考え方は「さらに研究を進めてほしい」などとなり、盛り込まれていません。津波に対しては、原発をもともと冷却水として海水を汲み取りやすい、低い地場に配置しているので、これに防波堤を立てるというツギハギだらけの対策に自ずとなります。

  

とにかく動かしたい、という電力会社・政府の圧力が、専門家の科学的議論に目をつぶってでも、新しい「規制基準」を再稼働への道とつなげるのでしょうか。これは、国民の安全に目をつぶると同じです。

  

 

「原子力災害対策指針(改定原案)に対する意見募集について」原子力規制委員会

http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130410_1.html

 

 

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< 解説② >

規制委員会『地震・津波に関わる新規制基準に関する検討チーム』の最新議事録

 ある施設が断層で傾いたり、破壊されたりしても被害はそれで終わるが、原子力発電所の場合は周囲の受ける被害の規模が全く違う。原子炉の施設が壊れるだけでは済まないことをまず考えてほしい

  

例えば、本震で配管が伸びきった後に余震が来たら耐えられるのか、そのような設計も追加していかなければならない。今の設計をベースに少しだけ変えるというのは危険だと思う。現状の設計は破棄して最初から作り直し、解析した上で試験を行い、学会等での議論を経て火力発電所等で地震を経験してから、原子力発電所に適用するというプロセスを経なければ信頼されないのではないか

  

特定する地震については活断層調査等によって選別することができるが、今のやり方では穴が開いてしまうのではないかという気もする。(中略)現状では不十分な点がありすぎのではないか。今のデータは観測網が整備されてから10年程度のデータにすぎない。

  

基準地震動を超える観測記録がここ数年間に何回も出てくるという状況は、(中略)これまでのやり方がそのまま通用すると思っているのは問題がある。

  

この資料では「がんばっていく」ということだけで、「断層の上にある原子力発電所を動かしてもいいと思う」とは書いていない。引き続きがんばってもらいたい。今のこの程度のもので動かすことを社会に説得することはできない。

  

  

規制委員会「地震・津波に関わる新規制基準に関する検討チーム」

http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/data/0012_01.pdf

 

 

 

< 解説③ >

堆積層が活断層を隠し、ゆれの時間を長くする

 この数年の研究で、活断層は地中深く埋まっている、ということが明らかになってきました。そのメカニズムは、図で示すとおり、まず、最初の地震で岩盤に亀裂が入り活断層が生まれます。この時点ではその姿は地表に現われています。しかし、やがて時間が経過すると、やわらかな土砂が低い大地に、徐々に積もり堆積層を形成し、活断層は地中深くに隠れてしまいます。活断層は、最近の時代まで活動しており、将来も活動する可能性がありますから、埋もれても安心できません。

  

3年前からこの研究プロジェクトをはじめた、岩田知考教授(京都大学)は、大阪の中心を走る上町断層帯にそって、地中はるか15Kmに、南北40Kmにもわたる巨大な活断層(=震源断層)があることを明らかにしました。こうした研究を見ると、立川断層の調査は視覚的にはとても分かりやすいですが、わずか10mを掘っただけなので、簡単に活断層が現れるとは、とても思えないわけです。

  

ところで、この堆積層は、その柔軟性から地震のゆれの時間を長くすることが分かってきています。東日本大震災では、震源に近い仙台でゆれは5分程度でしたが、はるか離れた関東平野には関東ローム層が地表から1~5km堆積しており、揺れの時間は11分も続きました。

(NHKスペシャル MEGAQUAKEより)

  

NHK

http://www.nhk.or.jp/special/megaquake2/schedule.html
 

 

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事故は起きる前には偶然に見えます。しかし起きた後に、原因を詳しく調べると必然に見えます。それなら逆に「事故原因を究明できたら、事故は防げる」と言えますか。

 

ひとつの原子炉には、弁(バルブ)の数だけでも30,000個あります(火力4,000個)。ケーブルが2000km、ポンプ350台、熱交換器140基、配電盤700面。これらの定期検査には協力企業から毎日1,500人以上が参加し2月以上かかります。福島第一にはこれが6基ありました。

 

この巨大なシステムを完璧に保守管理することが、事故『内部原因』の排除となります。ところが、2000年からの10年間で、日本では180件の事故報告があり、その間、点検や事故などで原子炉(BWR)の稼働率はわずか62.7%でした。そんな危ないなら止めたらいいのに、と思うほどこの巨大システムは、計算通りには動かないのです。

 

何よりも深刻なのは地震やテロなどの『外部原因』です。福島の事故では津波の来る前、一部の「配管」がすでに地震で破壊していたという指摘があります。これが事実ならあのとき電源があったとしても、原子炉のなかで暴れている壮絶なエネルギーを押さえ込むことは、結局できなかったかもしれません。ひとつの原子炉の「配管」は総延長で約120km、総数で約5万本もあり、問題がある部分を改良しただけで事故は防げるのか、次回はどこが破壊するのか誰が予測できるでしょうか。

 

地震と原発の事故原因を突きつめると、巨大システム自体の脆弱性が浮き彫りになります。これじゃあ、使えない、すでに世界中が、原発事故の計り知れない恐ろしさを、「安全」なら賛成できる、という立ち位置は存在しません。お金のためなら、安全を無視する、という立ち位置はあります。

 

それでも、原因をつぶして、いつか「完璧な原発を作れる」とまだ言い張るのなら、その前に、今の原発はすべて廃棄して下さい。

 

 13024号

 

 

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< 解説① >

 なぜ、議論はかみ合わないのか、安全問題

 推進派も反対派も、安全については一定のメッセージを出しています。片方だけの意見を誰かが聞くと、なるほど、と思ってしまうでしょう。どちらもそれなりのデータを提示して、論理的な議論をしているからです。ひとつの体系の中では論理は帰着するからです。

  

図を見ていただくと、左側に事故原因となる階層があることが分かります。外部原因からはじまり内部原因に向かって事故は起きます。一般的な企業でしたら、なるべく事故の原因は個人の責任に帰着する「ヒューマンエラー」としたいところです。チャリノブイリの事故では、当初は運転ミスとされましたが、その後の調査で設計そのもの、あるいは安全意識に関わる国家や当該機関の意識、指示命令などに問題があったことが明るみに出てきました。

  

さて、日本における原発安全議論は、図の右側を見てわかるように、推進派と反対派で違う領域(体系)で議論しているのです。ですからお互いにかみ合っていません。むしろ、推進派は明らかにそれを意識してアナウンスします。そして、議論がぶつかる「設計・設計思想の欠陥」では『確率的安全評価』の手法を用いることで、あたかも計算が正しいような偽装をします。さらに、活断層などの問題では政治力やお金を使って事実をねじ曲げるのかもしれません。科学的な議論を期待したいです。

  

反対派が安全の議論をするとき、その根底にある「自然環境・災害」の分野で徹底的に闘うのが戦略的です。しかも、それは生活者にとってリアリティがあるからです。今回の福島原発事故は、すべて「1000年に1度の津波」というレアケースだからしようがない、ということで問題自体を無効化しようとしています。これは、闘争に関わる根幹です。地震によって、すでに一部は破壊されていた、という広瀬隆氏の理論闘争は、きわめて意味が大きいのです。また、このことを科学的に証明しようとするあらゆる試みは、支援する必要があると言えます。

 

 

 

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< 解説② >

 放射能のバリアと、バリアを守るもの

 原子力発電所の安全性にとって最も大事なことは、放射性物質を封じ込めることです。しかし、小さな原子炉(圧力容器)に閉じ込められた想像を絶するエネルギーも閉じ込める必要があります。この安全を守るために、第一に放射性物質を封じ込めるための複数の『バリア』と、第二にこの各々のバリアを守る機器があります。

  

工学的には、バリアそのものは多重性で安全性を高め、このバリアを守るものは、その機能別に、原則として二重とすることが要求されます。前者のバリアを「静的機器」と言い、これに対して後者を「動的機器」というようにバリアを守るものは、基本的には電気による動力を必要とします。ですから、今回のような全交流電源喪失のような時は、一部を除いてそのほとんどが稼動せず、バリアを守るものが機能しませんでした。

小出氏は「日本の安全審査では、きわめて大きな事故を仮定しているかのように見えるが、実はそうではない。そのからくりは、安全防護装置がいついかなる場合にも常に有効に働くと仮定することにある」と述べています。

  

原子力発電所は巨大プラントです。そしてそれは、世界中でさまざまな事故を起こし、その不完全さを露呈しています。しかも、この巨大で複雑なプラントを運用する組織や人間は世代を超えて、完全な安全を担保しなければなりませんが、それは不可能でしょう。一度このシステムが故障すると、事故の頻度や複雑さを議論するよりも、押さえ込まれていたエネルギーがいきなり解放され、機器や容器を破損し、壊滅的な大事故となることを、人類は何度も経験しているのです。そして、閉じ込められていた放射能が、巨大なエネルギーとともに、想像もつかない広範囲に乱舞するのです。

 

 

 

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原発事故の確率は、10年に1回

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実は、原子力推進の総元締めである、政府の原子力委員会は、10年以内にまた福島原発と同規模の過酷事故が起こる、という妥当な試算をしているのにもかかわらず、都合が悪かったのか、不採用にしているのです。

  

2011年10月25日、同委員会の小委員会で発表した「原子力発電所の事故リスクコストの試算」の中で出てくる、この計算では「炉年」という単位を用います。これは、複数の原発の稼働年数を積算する方法で、1基がすでに10年稼働していると10炉年、2基目が15年稼働なら15炉年とし、それらを足して25炉年と計算します。

  

問題の計算は、まず対象を日本に限定します。福島の事故で3基爆発したので、事故を3回とみなします。日本の原発は1494炉年(廃炉を含む)ですから、3回で割ると頻度は約「500炉年に1回」となります。50基が再稼働すると、500分の1掛ける50で、10炉年になります。つまり、10年に一度事故は起きる、となります。

  

ちなみに、日本を除く世界は12,859炉年で2事故、運転中の原発は377基なので、「17年に1回」となります。

  

試算は他に複数あり、対象を世界に拡げて日本が地震大国であるということを計算から削ぎ落としたものや、津波による1回の事故としたものなどです。しかし、事故を3回とみなし個々の詳細な事故究明が必要です。原子力ムラは損害賠償にも影響が大きい地震では無傷とし、「1000年に1度の津波」による連鎖事故1回としたい。そして他の原発の再稼働にとっても、津波にこだわる理由が、この確率計算にもあるのです。

  

仮に、福島原発事故を1回とカウントしても30年に1回となり、人生で2回も遭遇するのです。しかも、過酷事故の手前の事故はこのかぎりではありません。あなたは、そんな未来を子どもたちに手渡したいですか?

 

 

13023号

 

 

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< 解説 >

 事故の『確率論的安全評価』(PSA)を利用する推進派

 スリーマイル島の事故が起きてから、アメリカは原発事故に対して『確率論的安全評価』を導入しました。これに対して小出 裕章氏は、

  

「どんなに確率が低くても破局的な事故が起きる可能性は常にある。それを無視してよいという科学的な根拠は存在しない。その点に悩み続けてきた原子力推進派は、破局的事故が起きる確率が極めて低いことを示そうとした。そのために動員された手法が『確率論的安全評価』と呼ばれるもの」と切り捨てています。

  

この手法は、たとえば三つの小さな機器の故障が重なって、放射能が外部に漏れる事故を想定します。ひとつの機器の故障が100回に1回起きるとすると、三つが重なるのは、1/100×1/100×1/100で、100万回に1回と計算されます。このように無視できるほど一定基準以下であれば、その事故に対して安全性が確保されていると工学的に言い切ります。ご存じの通り、分数と分数を掛けていくと、どんどん値は小さくなるものです。この点、本文で紹介した原子力委員会(当時)の、起きてしまった過酷事故(炉心が著しく損傷、放射性物質の大量放出につながるような重大事故)を、確率(炉年)で議論する方が、妥当であったでしょう。

  

小出氏は米国原子力委員会(AEC)の報告書(1957年)の、過酷事故が起きた場合の影響試算を示しながら、

「もし原子力発電所の大事故が起きれば、被害が破局的であることを示した。ただ、その一方で、そうした大事故の確率は、『いん石が米国の人口密集地に落下して死者が出るのと同程度』であり、原子力発電所で万一の大事故が起きた場合は、天災と考えればいいというのであった」と述べています。

 

すでにこの時に、福島原発事故を津波の天災であったかのように偽装する、今日の政府・原発推進派の手法を予言されていたのです。

  

  

★「原子力発電所の災害評価」小出 裕章氏(2004年)

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No97/koide_doc.pdf

  

「原子力発電所の 事故リスクコストの試算」政府・原子力委員会(発表:内閣府 原子力政策担当室)

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/hatukaku/siryo/siryo3/siryo3.pdf

  

「リスク情報を活用した原子力安全規制の導入に向けての取り組み」原子力規制委員会

http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/risk/index.htm

  

「リスク情報を活用した安全規制の導入に関する関係機関の取組みと今後の課題と方向性」
(2007年9月20日)原子力安全委員会

http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/anzen/sonota/houkoku/houkoku20070920.pdf
 

 

 

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これからはどうしても、専門家が必要

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(小出先生)

日本が原子力をやろうとした頃、それをやる人材が必要になりました。1960年代から原子力をやる専門家を養成しなければいけないということで、7つの旧帝国大学すべてに原子力工学科、原子核工学科というのをつくりました。

 

当時は、日本も世界もこれからは原子力の時代なんだという夢と希望にあふれていました。だから私を含めてたくさんの若者がそこをめざしました。自慢に聞こえると申し訳ないのだけれども、工学部の中でも原子力は一番難しかったです。

 

その後世界中に原発が増えていくわけですが、問題もいっぱい起きてきて、だんだん原子力はだめだと分かってくるわけです。すると20年くらい前から、だれもこの学問を学ぶ学生がいなくなった、7つの旧帝国大学からこの学科がすべて消えて、特殊な大学しかない。だから原子力専門家は、もう育っていないのです。

 

このことで一番危機を感じている人は、原子力を推進しようという人達です。ですから、文科省も大学で原子力工学をつくってくれたら、山ほど金をやるからというわけですが、大学の方は学生が来なければ意味がないわけですからできません。

 

しかし、これからはどうしても専門家が必要なわけです。廃炉だってそうだし、広島型原爆120万発分ある高レベル放射性廃棄物、これを何とかしなくてはいけないという世代責任が私たちにはあるわけです。でも、私のような世代が原子力に夢をもってつくってしまったゴミ、この始末が必要だからといって、そのために若い世代にお前の命をよこせといっても、難しいと思います。私は、不安であります。

(終)

 

KAZE to HIKARI.13012

 

【お詫び】

小出先生の「広島型原発1120万発分」は高橋の誤りで、正しく「広島型原発120万発分」です。小出先生と読者の皆様に混乱をまねきましたことを、心からお詫び申し上げます。

 

 

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⑧小出裕章さんにお話をきく。-7「京都大学原子炉実験所の問題について。

http://www.youtube.com/watch?v=G17OlYOK0B8

 

 

 

●原子力をめざす学生が、3.11で激減

 図のように、量的には1990年代から原発の建設と大学の学科数が相関しながら減少しています。小出先生は、まず旧帝国大学から順に原子力関係の学科がなくなったことを指摘されています。

  

就職活動向け『原子力産業セミナー』の来場学生数は、リーマンショックの影響もあり、年々増えていました。しかし、3.11の前の年は1903人だった学生も、原発事故の翌年は496人と26%までに激減しました。

 

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●原発1基換算の人員

 日本の学生が少ないのはすぐに分かります。また昨年、アメリカではGEが再生可能エネルギーやシュールガスにシフトし、原発の組織を縮小しているので、メーカーの従事者はもっと少ないでしょう。パテントビジネス中心ですから人員は多くはいりません。

 

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●高レベル放射性廃棄物(ゴミ)ではなく、「資産」

 もともとは、使用済核燃料を再処理せずにそのまま処分(ワンス・スルー)する国では、使用済核燃料そのものが『高レベル放射性廃棄物』となります。ところが、日本では奇妙な定義をしています。

  

経産省は、日本は使用済核燃料の『再処理』をするのだから、最終的に使用済核燃料から分離される高レベル放射性廃液、またはそれをガラスで固めたものだけが『高レベル放射性廃棄物』だ、としているのです。こうした論理は、使用済核燃料は「廃棄物」ではなく価値のある「資産」だということに直結します。実際、電力会社は財務諸表にこれを「資産」としてあげています(9社で2兆円程度の加工中等核燃料に含む)。しかし、国内での再処理めどなど全くたっていません。

  

将来、価値を産まないものは「資産」ではなく「不良債権」です。たとえば、銀行がお金を貸した「債権」は金利を産むので「資産」です。しかし、貸したお金が返ってくるめどがたたなければ、それは「不良債権」です。電力会社の経営は、ゴミを資産化する本来の経営では考えられないことを国家ぐるみでやっているのです。

  

経産省はこの論理によって、ガラス固化体貯蔵管理中1,664本としていますが、原子力発電環境整備機構は、「2011年12月末までの原子力発電に伴って生じた使用済核燃料を、全て再処理しガラス固化体にすると、約24,700本(原子力発電所において装荷中の燃料の燃焼分も含んでいます。)になります」と述べています。

  

では、使用済核燃料を再処理しないで廃棄するワンス・スルーにすると、どの程度の「廃棄物」があるのでしょうか。資源エネルギー庁の公表では、使用済核燃料の年間発生量は約900tU程度、2011年9月末現在14,200tUです( tU:ウラン換算量)。量の意味が分かりませんが、小出先生は原爆に換算されています。

 

正しい決算はどうあるべきかの話でも、不良債権の話でもありません。人類が作り出したもっとも危険なもの、手に負えないものを、お金に換算することによってまるで宝物のように仕上げ、私たち国民を欺いているのです。交換価値はありません、あるのは命との交換だけです。気の遠くなるような量、そして狂気の放射線を放ち続ける、原発のゴミ。私たち大人の世代責任は、まず毎年900tUも吐き出す、原発を止めることです。決して再稼働させてはいけないのです。そして、廃炉に持ち込む。少なくとも、少なくとも、そこまでは一緒にやりぬきましょう。(仁)

 

 

 

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今、すぐにやめられないのは、経営問題です

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(小出先生)

今止まっているすべての原発が再稼働するまで、たぶん5年とかという時間が経ってからになると思いますが、今でもすでに寿命とされる40年を突破しているものはたくさんあります。5年後は、建設後60年まで運転していいいと言い出すにきまっています(笑)。

 

自民党はまたこれからも原発を作ると、のうのうと言っている。選挙制度が悪すぎます、投票しない人もいるので、自民党は国民のわずかな支持しか受けていないでしょう。

 

福島の事故は続いています。でも政権の方はもうなかったことにしたい、とにかくもう忘れろと言っているわけです。マスコミもこれに片棒をかついで福島のことは知らせない、ですからほとんどの日本人は福島を忘れようとしているのです。私は決して忘れない、そう思いながらみなさんのところへ出かけて行きますが、それでも私の力など国家のやる宣伝に比べると取るに足らないのです。

 

今、すぐに日本で原発をやめられないのは、電力会社がつぶれちゃうからです。原発なんか止めったって電気の供給という意味ではぜんぜん困らない、それが分かっているのに彼らがやり続けるのは、今やめると原発やその関連事業が不良債権になって、電力会社は簡単に倒産するのです。もちろん、再処理したプルトニュウムも資産に入っていると思います。

 

原発を再稼働するということは、電力問題ではなくて、電力会社の経営問題です。そのために、すべての原発を動かすと思います。

 

KAZE to HIKARI.13011

 

 

 

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小出裕章さんにお話をきく。-3「原発と差別について。」 http://www.youtube.com/watch?v=NbPp6OHw6VM

小出裕章さんにお話をきく。-4「総選挙の結果について。」 http://www.youtube.com/watch?v=ntuk8QoYLF8

 

●(解説)選挙結果

小選挙区制では、300人の枠のうち選挙区で1人しか当選しない「一人区」が295あります。ここでは、多数の政党から立候補があると票が分散され「死票」となり、1位が圧倒的に有利になります。また「死票」を恐れた有権者が事前調査に影響され、調査で有力な政党・候補に票が流れる傾向があります。前回の自民党は選挙区で165.8万票減、比例区で218.6万票減でしたが、選挙区の当選数3.7倍となりました。

 

1994年、衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制(小選挙区300、比例代表200)が導入され、1996年の衆院選から実施され、前回は小選挙区300、比例代表180でした。

 

 

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●(解説)電力会社の純資産と不良債権

 

電力会社の決算は、『電気事業会計規則』という経済産業省令があり、これにのっとって行われます。総括原価方式など一般とは異なる方法がありますが、ここではふれません。

 

まず、1基5000億と言われる原発ですが、毎年、原価償却という方法で経費として価値を少しずつ落としていますので、原発の資産はそれほど大きくありません。これは、一般的な方法です。

 

資料は子会社、関連会社の資産も含んだものです。会社の余裕を示す「純資産」はそのために多くなっています。電力会社単独で見ると9社全体で5兆8千億円程度となり、原発資産額とほぼ同じようになります。つまり、原発廃止にするとその資産価値がゼロになり、「純資産」は消えます。そして、ほとんどの電力会社は倒産の道をたどるでしょう。ただし、通常の会社整理では子会社、関連会社の資産も含めて、債権者に責任を負いますので、経産省が試算したように電力会社単独で計算するのはインチキです。

 

ただし、これはまだ表面上のお話で、さらに深刻な問題があります。

 

① 原発の廃炉コスト

電力会社では、将来の廃炉費用のために1基あたり600億円程度を少しずつ積み立てます。福島第一を除く50基だと満期に3兆円程度になります。しかし、今すぐに脱原発にするとこの積立(除却仮勘定)が足りません。しかも、実際に廃炉がはじまっている東海原発では、解体に約350億円、廃棄物の処分に約580億円、合計約930億円もの見積もりがなされています。これが標準だとすると廃炉コストは約4兆6500億円となり、巨額な不足が発生するでしょう。

 

② 核燃料リサイクル事業の負債と廃炉コスト

たとえば、六ケ所村の再処理施設を経営する日本原燃は、2010年10月から決算書の開示をやめ、その不良債権は闇の中に消えています。稼動しない施設に電力会社からは、すでに1兆6169億円支払われており、別に1兆252億円の借金の保証もしています。さらに「前渡金」のかたちで1兆1千億円貸付いています。2011年には、4000億円の増資も電力会社が引き受けました。廃炉にすると1.5~2兆円が必要だと言われています。

 

こうした、日本原燃の不明瞭で巨額な負債は、脱原発となると電力会社の「不良債権」として一気にのしかかってきます。そして、現在稼動していないのでこの負債は毎日増えています。仮に稼働したところで、想定稼働率の達成は他国の事例では難しく、投資回収分の売上が期待できません。この点を、小出先生も明快に指摘されています。つまり、進むも地獄、止めるのも地獄。核燃料リサイクル事業をやめることができない、経営からの理由がここにあります。

 

しかし、これは乗り越えられない問題ではありません。1990年代の銀行不良債権問題の規模(公的資金は33兆円)から考えると、発送電分離をともなう健全な電力システムや再生可能エネルギー社会をデザインし、そこに向かって国の主導ですすめることができます。そのことがむしろ、新しい社会基盤を創り上げる壮大な景気対策にできるのです。そしてできあがった社会はヘルシーです。だましだまし、地獄へ向かう必要などないのです。(仁)

 

 

 

 

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☆資産の中でも、送配電施設が大きいです。発送電分離はこうした巨額の資産を相手にしているわけです。

 

資産の図③.jpg

 

 

 

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原子炉は、発電のためではない

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(小出先生のインタビューから)

みなさんは、原子炉は発電のための道具だと思われているかもしれませんが、日本が原子力をはじめたのは原爆をつくるためにプルトニウムが欲しかったからです。

 

イギリス、フランスに使用済み燃料の再処理を委託して取り出したプルトニウムは45トン、長崎型原爆の4000発分です。ただ、これは核分裂性が70%で、小ぶりのミサイルに載るようなものはできない。これでは、軍事的価値が下がります。90%以上にするには高速増殖炉がほしい。だから、もんじゅは絶対にあきらめないのです。一度でも動かすことができれば、98%という濃度ができます。

 

1977年、米国大統領カーターは、核兵器の拡散防止をしなくてはいけないということで、米国の原子力発電所の使用済み燃料の再処理をしない、だから他国でもするな、という政策を打ち出そうとしました。ところが、日本はとにかく再処理をやりたい、と言って東海村の再処理施設の稼働について、米国とかなりきわどい争いをしました。最終的には、日本ならいいだろう、と許しました。日本はアメリカの属国だからです。

 

米国は原爆をつくるために原子炉を山ほどつくって、ところが今度は重荷になってきた、そこで今度は技術を海外に売って金儲けをしたくなった。日本なら中国に対する牽制にもなるし、さらに日本がアジアへ販売すると米国にはパテントビジネス(特許権)で金が入るのです。

 

KAZE to HIKARI.13010

 

 

山ほどつくって.jpg

 

 

 ぽぽんぷぐにゃん2.jpg 

小出裕章さんにお話をきく。-1「核廃棄物と原爆について。」2013.02.28 

http://www.youtube.com/watch?v=HQDImfZiW5A

 

 

 

 

 

軍事目的のウラン.jpg

参考文献:『原発と憲法9条』小出裕章著 遊絲社1400円

多数の小出先生の著書の中でも、特にアメリカの軍事目的である原子力政策と戦後日本との関わりについて正面から論じられたもの。原子炉とは何か、再処理とは何かを、発電ばかりから議論しがちな私たちに、明快に軍事目的と技術的に論証している。原発問題には必須の一冊。

 

アマゾン: http://www.amazon.co.jp/%E5%B0%8F%E5%87%BA%E8%A3%95%E7%AB%A0-%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%A8%E6%86%B2%E6%B3%959%E6%9D%A1-%E5%B0%8F%E5%87%BA-%E8%A3%95%E7%AB%A0/dp/4946550313

 

遊絲社:http://www.yuubook.com/center/

 

 

●戦後日本の核開発

 (以下、小出裕章氏のお話、やや要約①-2)

日本は原子力に限ってはどうしようもない後進国、だって戦争に負けちゃったわけで、日本を占領した米軍は一番初めにやってことは、日本の核研究を全部つぶしたことです。ようやくできることになったのは、1951年サンフランシスコ講和条約が結ばれてから。その頃は、ソビエトでは世界初の原子力発電所が54年には動き出しちゃうわけですから、日本など遅れに遅れて始まりました。

  

●(KAZEの質問への小出先生からの返信メール要約

東海再処理工場は、1977年当初は年間210トンの計画でした。ところが、2006年3月に役務運転を終了した段階で、再処理できた使用済み燃料は累積で1116トン、稼働率は20%以下でした。そこから取り出されたプルトニウムはせいぜい10トン、その中での核分裂性プルトニウムは約70%です。

  

戦後日本の原発と再処理は、もちろん一つの文脈として取り組まれました。しかし、東海再処理工場の運転実績は惨憺たるもので、失敗といっていいと思います。

  

また、青森県六ヶ所村に年間800トンで計画しましたが、建設費が当初の3倍近い2兆2000億円に高騰したうえ、さまざまなトラブルに見舞われ、操業開始は延期に次ぐ延期を余儀なくされてきました。04年1月に電気事業連合会が発表した試算によれば、完成後の操業、解体費の総計は11兆円もかかることが公表されました。

  

高速増殖炉もんじゅは動かず、プルサーマルも事実上頓挫している現状では、再処理工場でプルトニウムを取り出しても、発電という分野では使い道がないのです。

 

 

 年表⑤.jpg

 

 

 

 

 

米国のパテントビジネス化と日本の実業寡占化.jpg

 

 

 

 

 

 

3.10.jpg

http://coalitionagainstnukes.jp/?p=2415#gather

 

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小出先生を訪ねて

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約束の時間より20分も早く着いてしまった。研究室の前で、あまり早く訪ねるとご迷惑だろうとみんなで話していると、先生がにこやかに外まで僕たちを迎えに現れた。

 

 驚きました、本当に小出先生はいるんだ、これが正直な気持ちでした。とてもスマートで、まるでスポーツマンのような姿勢のよさと、きびきびして動作が美しい。凛としたさわやかさ、これが衝撃的な第一印象です。

 

 そして、まるで旧知の仲のように、しっかりと話し手の目を見つめ丁寧にお話を訊いていただけるので、僕はすっかりうちとけてすぐにいろいろなことを質問したくなりました。

 

 席に着くとすぐに、公害問題に生涯を捧げられた田尻宗昭氏の若き日の写真コピーをいただきました。実は、KAZE to HIKARI発起人のひとりドイツに住むTakako Kamadaさんは、田尻氏の姪なのです。小出先生はとても懐かしそうにすでに他界された氏のお話をはじめました。

 ◆

 

 インタビューは80分余りですが、突っ込んだお話を随分といただいたので、整理に時間をいただきます。3月10日の『原発ゼロ大行動』に連動し、この週に何回に分けて記事とさせていただきます。

 

小出先生facebook2.jpg

昨日は原子炉実験所まで、ありがとうございました。
東京からおいでくださったとのことで、驚きました。
その上、ゆっくりお相手する余裕もなく、申し訳ありませんでした

メール、いただきました。
自分の写真を見るのは嫌いですが、楽しいひと時を思い出しました

昨日のことを「KAZE to HIKARI」のfecebookでご紹介くださるとのこと、お手数をおかけして申し訳ありませんが、すべてお任せします。

                                                                                                              2013/3/1  
小出 裕章

(先生からメールをいただきました)
  

 

 

 

●訪問の経緯

 今回は、ぽぽん ぷぐにゃんさんのインターネットラジオの取材に乗っかったかたちです。Takakoさんとぽぽんさんは従来から仲良し。高橋は以前、小沢一郎さんの取材の時にぽぽんさんを誘っています。こうした、ご縁から実現しました。

 

ぽぽんさん.jpgさらに『小出裕章 原発と憲法9条』を出版している遊絲社(ゆうししゃ)代表の溝江玲子さんもご一緒でした。こちらの本も素晴らしく、ぜひ、ご購読ください。

 

 打ち合わせがほとんどなかったので、終わってみたら、小出先生と同じ席に座っていた高橋ばかり写真に写っていました。すいません。m(._.)m ただし、ぽぽんさんは顔出ししません。

 

 KAZE to HIkARIの説明といくつかの記事も解説をしました。東京都の食品放射能検査は98%が牛なのです、と絵とデータを見ていただくと、とても驚いた顔で「本当ですか」と二回も聞き返されました。そして、大きな声で笑っていました。

 

 参加者:ぽぽん ぷぐにゃんさん、溝江玲子さん、Takako Kamadaさん(ドイツ)、かがみ道子さん、高橋仁也

  

差し替え.png

  

●京都大学原子炉実験所

 「原子炉実験所と聞くと、みなさん、原発を推進するための研究をしているのではないか、と勘違いされるのですが、違うのです」と小出先生がお話された。「物理学や生物学などの研究に、どうしても中性子をぶつけて研究するという分野があります。それなら原子炉が必要だ、ということになって作られたのです」原発そのものを研究している研究者は、ここではとても少数だということです。

 DSC02053.JPG

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/research/div

 

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乳児の食品は、大丈夫なの

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昨年4月、食品中の放射性物質に、新基準値が導入されました。野菜、穀類、肉、卵、魚など500ベクレル/Kgの暫定規制値が、「一般食品」100ベクレル/Kg と、それまでの5倍厳格になりました。

 

 では、検査体制はそれに応じて、整えられたのでしょうか。

 

 この新基準では、あたらしい分類として「乳児用食品」という分類が加えられ、さらにきびしい50ベクレル/kgが課せられました。粉ミルク、ベビーフード、乳幼児向け飲料などです。

 

 ところが、その4月に全国で16,945件の検査が行われたのに対し「乳児用食品」は、わずか15件でした。その後、12月までの累計数は495件で、これは検査全体の0.24%程度に過ぎません。

 

 放射線のリスクは年齢によって違います。ですから食品基準は、売るためのものであり、医学的・年齢別のものではありません。そのなかでも「乳児用食品」はもっとも放射能の影響が懸念される、乳児に絞った値です。しかし、その基準はあっても、検査はきびしく行われていないのです。

 

 原材料の検査が十分でない以上、加工製品である「乳児用食品」は、乳児に食べさせる前に、厳格な検査が必要ではないでしょうか。

 

 KAZE to HIKARI.13002

 

 

 

乳児食品.jpg

  

 

 

4月から検査.jpg

厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000029qee.html
なお、民間のデータを十分に比較して、厚生労働省のデータと大きな相違がないことを確認しています。

 

 

 

基準値.jpg

 

 

 

  

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なぜ、牛ばかりなの

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行政は、食品の放射能検査を、ちゃんとやっているのでしょうか。たとえば昨年12月には、全国で32,620件の検査が行われ、第一位の東京都は9,109件でした。ところが、その98%(8,941件)は牛肉の検査でした。

 

 2011年夏、牛肉から放射能が検出され、全国で買い控えと価格暴落が起きました。原発事故現場から100Km以上離れた宮城県で生産された稲わらが、牛の飼料として各地の酪農家に流通し、放射能の拡散となったのです。

 

 3.11の直後、福島第一原発の数回におよぶ爆発で、大量に飛散した放射性物質が、上空の大気の流れと、宮城県に降った雨で、稲わらに集積しました。現在は、こうしたことは起きてはいないでしょう。しかし、買い控えは多くの自治体に『牛の全頭検査』を促しました。

 

 東京都は、都立芝浦と場でと畜した牛を全頭検査する一方、関連サイトでは「生鮮食品と加工食品を対象に幅広く行う」「都民が日常的に摂取する食品、子供が継続的に摂取する食品を選定しています」と、のべています。

 

 都民は牛肉以外にも、さまざまな食品を口にします。たとえば、東北、関東から雨で放射性物質が流れ込んでいる海、そこでとれる魚。東京都は12月、千葉県産ブリ、宮城県産アナゴなど、わずか15件の検査しか行いませんでした。検査対象は、どのような力関係で、決まるのでしょうか。

 

 KAZE to HIKARI.13001

 

98%牛肉.png


 

 

12月東京都検査.png

 

 

 

●オートガンマカウンターで大量の検査を処理

放射性物質を比較的短時間で測定できる機器で、少量の検体を数多く測定するのに適しています。検査精度はゲルマニウム半導体検出器に比べると低くなるため、スクリーニング検査に用います。では、なぜこの機器で、他の食品も検査をしないのか。

オートガンマカウンター.png

 

検査の統計/厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000029qee.html

東京都の検査体制/福祉保健局:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/ryuutuu/index.html

全頭検査の実施:http://www.jmma.or.jp/pdfs/spSheet.pdf

オートガンマカウンターを使った牛肉の検査(東京都):

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/09/DATA/20m9k200.pdf

 

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