4号機、燃料棒の取り出し、大丈夫か

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4号機、燃料棒の取り出し、大丈夫か

 

東京電力は4号機の使用済み核燃料プールに保管している1533体の燃料取り出しを11月半ばからはじめ、1年後の来年末には終える予定です。

 

作業は、プールの中にある燃料ラックから燃料集合体を引き抜き、水中に沈めた『キャスク』という輸送容器に1体ずつ格納します。ひとつのキャスクに22体を入れ、これを外部の共有プールに移す一通りの作業には7~10日かかります。

 

プールの中の大きなガレキは、すでに取り除かれていますが、まだ5cm未満の小さなものが残っています。燃料集合体とラックの隙間は、わずか1.3cmなので、この隙間にガレキが入っていると、引き抜くときに引っ掛かり、燃料棒を破損させる可能性があります。このために、東京電力は1秒間に1cm引き抜くという操作を行います。当初、比較的安全な「新燃料」から取り出し、「その経験を踏まえ使用済燃料を取り出す」としています。使用済み燃料は大量の放射性物質を含んでいますので、破損するとこれが漏れます。

 

また搬出のとき、地震などでキャスクを落とす懸念があります。キャスクは9mの高さから落下しても、漏れを基準以内に抑えるよう設計・製造されていますが、プールのあるフロアは高さ32mもあります。

 

今年3月に原子力規制委員会は、万が一、キャスクが落下し破損したら、臨界(核分裂の連鎖反応)に至らないかという質問をしています。これに対し東京電力は、キャスク内部に中性子吸収材があり、「燃料が底部に蓄積しても臨界になることはない」と回答しています。ただし、フタの部分が破損すると、放射性物質が漏れたりする可能性は認め、「その影響は限定的である」とも言っています。これは、過去の17m落下実験のデータを、32mへ換算計算した結論です。

 

東京電力は「燃料の取出しという作業自体は、震災前からどの発電所でも行っている通常の作業です」としていますが、規制委員会の田中委員長は「来年中に終わると(東京電力は)言っているけれども、そんなにうまくいくかどうかはよく分かりません」と、10月30日の記者会見で無責任な発言をしました。

 

4号機プールからは一刻も早く燃料を取り出すことが必要です。その作業リスクは色々検討されてきたようです。しかし、安全性は本当に大丈夫でしょうか。

 

 

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【資料①】東京電力→原子力規制委員会

「4号機使用済燃料プール等からの使用済燃料取り出しに係る安全性についてのコメントへの回答」2013.3.29

https://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/data/0007_03.pdf

 

 

 

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事故当時に冷却のために海水を注入したので、この塩分で燃料集合体が腐食していないか心配されました。このため、2012年7月18、19日に2本の燃料集合体を抜き出して、検査したところ問題がないことが分かっています【資料②】。また、プール内の海水混入も、塩分の除去は2012年10月12日に完了しています【資料③】。

 

【資料②】東京電力「使用済燃料プールから取り出した燃料集合体他の長期健全性評価」2013.4/ PDFの5ページ

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/d130412_01-j.pdf

 

 

【資料③】東京電力「4号機使用済燃料プールの塩分除去作業完了について」2012.10.22/PDFの31ページ

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/m121022_05-j.pdf

 

 

 

 

燃料損傷リスク.jpg建屋上部の建屋ガレキは、2011.11.26~2012.7.11の9か月間ですべて撤去されました【資料④】。

 

もっとも重要なのは、使用済み燃料プール内部のガレキです。これは、燃料集合体を取り出すときにガレキが障害となるからです。今年の8月から始めたガレキ撤去は、20台以上の専用に設計された、機器を移動したりガレキを撤去したりする器具によって現在も行われています。はじめに大型のガレキ(15cm以上)をすべて取り除き、その後中型ガレキ(15~5cm)を7割がた撤去しました【資料⑤】。

 

問題となるのは、5cm以下のガレキです。燃料集合体は燃料ラックに入っていますが、その隙間は1.3cmあり、この中に小さなガレキが落ちていることが推測され、引き出すときにこれが引っ掛かります。このために、引き出しは1秒間に1cmという速度でおこなわれ、燃料集合体は250Kgありますが、センサーがそれ以上の重さを感じたときには自動的に停止します。こうした時間をかけるために、ひとつの燃料集合体を引き出しから大型プールに収納するまで7~10日掛かるわけです。

 

 

【資料④】東京電力「4号機「原子炉建屋」および「使用済燃料プール」の健全性について」2012.8.30

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_120830_02-j.pdf

 

【資料⑤】東京電力「使用済燃料プール内のガレキ撤去および炉内機器の移動作業開始について」2013.8.26

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130826_02-j.pdf

  

 

 

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プールのあるオペレーティングフロア(約32m)から、燃料を装填し終えたキャスクをクレーンで吊り上げて、下部のトレーラーエリアに降ろします。この際に、誤ってキャスクを落下させてしまったら、中が使用済み燃料ならば、水が漏れてさらに希ガス、よう素など放射性物質が漏れるリスクがあります。

 

キャスクはもともと9mの高さから落下しても、漏洩を基準以内に抑えるよう設計・製造されています。特にキャスク上部のフタが外れるかどうかがポイントとなります。過去に、17mの高さからコンクリート床に落下試験を実施したことがあります。この時は、フタは外れず、フタから内部のガスの漏洩は生じたものの、内圧が低下する程ではなかった、という報告があります。

 

しかし、東京電力は「32mの落下により、キャスクのフタからの漏洩、キャスク内部の燃料破損が生じる可能性がある」としながらも、「敷地境界における線量は、約1.7×10-3mSv程度であり、従来の設置許可における燃料体落下事故の評価より1桁小さく、その影響は限定的である」と結論付けています。

 

また規制委員会が、キャスク落下のときに「使用済燃料の破損物が、キャスク底部に蓄積したとしても臨界には至らないか」と質問していますが、これに対し東京電力は、キャスク内部に中性子吸収材があり、「ペレット(燃料)が放出されて底部に蓄積しても現実的には臨界になることはない」と回答しています。さらに「キャスク表面温度を監視しつつ、高温(85℃以上)になる場合には、放水等により外部からの冷却を行う」としています。【資料①】

 

さらに29日、「キャスクが落下したことで再臨界しキセノンが発生した」と想定し、5km圏内の住人に、避難警報を出す訓練が行われました。(福島テレビ)

http://www.youtube.com/watch?v=rh7_ZTVX7j8

http://www.youtube.com/watch?v=C0xf9vYPDo0
 

 

 落下時の想定.jpg

 

 

 

 基礎知識.jpg

 

【資料⑥】東京電力による動画解説「映像アーカイブ」3分42秒

http://www.tepco.co.jp/tepconews/library/movie-01j.html?bcpid=45149870002&bclid=27905668002&bctid=642061648002

 

【資料⑦】東京電力「4号機使用済燃料プールからの燃料取り出しについて」2013.10.30

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/series/images/131030_01.pdf

 

①プール内部でのキャスクへの搬入手順

今回の4号機使用済み燃料プールからの燃料集合体の搬出は、完成した燃料取り出し用カバー内部で行われます。燃料は常に水によって冷却する必要があるし、水は放射線の遮断にも役に立ちます。ですから、取り出し作業は水のあるプールの中で行う必要があります。

 

安全に燃料を外部に持ち出すには、キャスクと呼ばれる輸送容器に収める必要があります。プールは二つに区切られていて、キャスクを縦に入れる部分と、燃料集合体が多数収められている燃料ラックがあります。このラックから、燃料取扱機で燃料集合体の上部フックを連結させて引き揚げ、キャスクに収めます。ひとつのキャスクに、燃料集合体22体を入れます。この際、燃料集合体を誤ってプール内部に落下させたならば、「燃料1体では再臨界しないことを確認している」と東京電力は言っています。

 

その後、この100トンを超えるキャスクをクレーンで持ち上げ、最終的には地上まで降ろし搬出します。プールの中の作業は、すべてカメラとセンサーを使った遠隔操作で行われますが、クレーンの操作などは人が行います。(NHK10月29日放送「NEWS WEB」では、すべてを遠隔操作で行い、現場には人がいないような印象を受ける放送がありましたが、それは間違いです)

 

こうした作業は、通常運転の際にいつも行われていることですが、今回は燃料取り出し用カバーという新しい設備を使うことになります。ひとつのキャスクを使って外部の大型プールに搬入するまで、およそ7~10日間を掛けます。これを、二つのキャスクを使い交互に繰り返します。また、実際の取り出しの前に訓練を行い、当初の実際の作業は習熟度を上げるために比較的安全な新燃料から行います。

 

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キャスクの概要(た).jpg  

 

 

②使用済み燃料と新燃料の違い

原子力発電所の事故で、もっとも問題とされるのは放射性物質の元である燃料の問題です。燃料は、一度も使っていない新燃料と、すでに発電のために使った使用済み燃料があります。特に危険なのは、この使用済み燃料です。

 

この点、京都大学原子炉実験所の小出先生は「ウランを核分裂させると核分裂生成物というものが生まれます。これはおよそ200種類におよぶさまざまな放射性物質の集合体です。セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131というようなものが混然一体となって含まれています。100万kWの原発一基を1年運転させる毎に、放射性物質は広島に投下された原爆の優に1000発分を超える量が生まれます」とおしゃっています。また、次号のインタビューでも燃料棒の1533体のうち、特に使用済み燃料1331体を問題視して議論をしています。実際、東京電力も燃料取り出しは、先に新燃料から行い習熟度を上げてから使用済み燃料に取り掛かる予定です。

 

 

●燃料の形態「燃料集合体」とは燃料棒の構造.jpg

原子力発電所の燃料となるウランは、二酸化ウランに焼き固められて、ペレットに加工されます。このべレットを、ジルコニウム合金という金属でつくられたパイプに入れます。これを燃料棒といいます。直径1cm、長さ4mほどの長いもので、小出先生は「細い長い物干し竿のようなもの」と表現されています。

 さらに、燃料棒を束ね、燃料集合体をつくります。燃料集合体の構造や大きさは、沸騰水型炉(BWR)と加圧水型炉(PWR)とで異なります。4号機は沸騰水型炉で、9×9=81本の燃料棒が燃料集合体として収められています。一般に、「燃料棒」というときに、この燃料集合体のことを簡略化していいますが、正確には燃料集合体です。4号機のプールには、この燃料集合体が1533体あり、うち使用済み燃料を収めたものが1331体あります。

 

燃料集合体とは.jpg

 

 

 

③鉄骨建方『燃料取り出しカバー』の建設

原発事故によって3号機から共通のダクトを通じて侵入した水素ガスが(東京電力の説明)、4号機に入り同機の建屋は爆発しました。これによって、上部にあるクレーン(燃料集合体を原子炉あるいはプールから引き上げる)などが吹き飛びました。また、建屋自体が激しい損傷し一部の壁や床が破壊で、新しいクレーン設置の荷重に耐えられなくなりました。

 

このために、4号機建屋の横に新たな構造物『燃料取り出しカバー』を建設することになり、2012年8月から工事が行われ、これが完成しました【資料③】。当初、取出し作業の開始は今年の12月をめどにしましたが、事態の深刻さから1カ月早まったわけです。なぜ深刻なのか、それは4号機のプール自体が予期せぬ地震で倒壊した場合、あるいはプールに冷却水を送る装置が壊れた場合に測り知れない事態となるからです。こうしたとき、燃料自体は常に『崩壊熱』を持っていますから、1、2、3号機で起きたメルトダウンのような熔解が、プールの外、あるいは中で起きることが懸念されます。ただし、東京電力はこの点について「全ての測定箇所で設計基準強度以上であることを確認した」と説明して、震度6強の耐震性があるとしています【資料⑨】。

 

取り出しカバー.jpg

  

 カバーの裏側.jpg


【資料⑧】東京電力「4号機燃料取り出し用カバー設置工事の進捗状況について【天井クレーンの設置完了】」2013.9.25

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130925_04-j.pdf

 

【資料⑨】東京電力「4号機原子炉建屋の健全性確認のための定期点検結果(第5回目)について」2013.5.29

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130529_06-j.pdf

 

 

 

 

 

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