4号機プール、広島型原爆の1万4000発分くらい

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京都大学原子炉実験所の小出先生は、プール内で燃料集合体を落下させるリストとその危険性についてご指摘されています。なお、東京電力はワイヤーを二重にすることで、このリスクを回避しようとしています。

 

■小出先生

(現在もっとも心配することは、)使用済み燃料プールを支えている下の階の壁も、床の一部も、損傷してなくなっていて、半分宙吊りのようになっていますから、このプール自身を支えることが危うい状態になっていることです。大きな余震がきて、このプールがガタッと崩れ、1331体すべての使用済み燃料が熔解することが、一番心配です。1、2、3号機は、まがりなりにも原子炉の中で起こったのですが、4号機のプールが崩れれば、そのまま空気中に恐ろしいほどの放射能を噴き出すでしょう。広島型原爆の1万4000発分くらいの核分裂生成物が、その底にたまっています。

 

作業は燃料取扱機を使って、水の中で燃料ラックから燃料集合体を取り出します。もし、何かあるとすると、この過程でうまくキャスクに入れられないで、水の中で燃料集合体を落下させてしまうというのが考えられます。その衝撃で(中の燃料棒が)折れるようなことがあれば、放射性物質は噴き出してくるわけです。すると、プールが放射能で汚れてしまう。一部の気体状の放射性物質は水面から外にも噴き出します。その時に作業員が被ばくするでしょう。逃げたところでプールの水は汚れているので、その水を浄化しなければならない。今、プールの水は循環しているので、その途中で除染するということもできるでしょうけれども、そのために何カ月も作業は停止するわけです。

 

(落下、破損で)燃料棒を包んでいるジルコニウムは、すぐには自然発火しません。温度が850~900℃くらいになると燃えます。これは「ジルコニウム水反応」といいます。水とジルコニウムが酸化反応して水素を出すのですが、それが発熱反応なのです。一度反応すると熱が出て温度が上がる、温度が上がるとますます反応する。すると水素が出て、また温度が上がる、そしてまた反応する。この反応が一気にダーッと進んでしまいます。これがたとえば外部の空気中だとすると、空気には水分があります。ですから、それと反応するわけです

(KAZE:燃料集合体が冷却水の外部で空気触れる可能性は、キャスクが32mから落下し、東京電力の予想以上に破損したときに考えられます)

 

(キャスクを落下させることは)あるかもしれないけど....。事故以前に取出し作業をやっていたときは、ちゃんとした建屋の中に、ちゃんとしたクレーンがあって、そういう状態でやっているわけですけども、今は、応急の建物を作り、応急のクレーンを用意しているわけですから、本当に今まで通りの作業ができるのかどうかは私にはよく分かりません。

 

 

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写真1.jpg高橋

あまりにひどい汚染水問題に気を取られて、この間、少し4号機の問題を忘れていました。4号機でもっとも心配することは何ですか。

 

小出先生

4号機の建屋は爆発して大きな損傷を受けています。使用済み燃料プールを支えている下の階の壁も、床の一部も、損傷してなくなっている。半分宙吊りのようになっていますから、このプール自身を支えることが危うい状態になっているわけです。大きな余震がきて、このプールがガタッと崩れ、1331体すべての使用済み燃料が熔解することが、一番心配です。1、2、3号機は、まがりなりにも原子炉の中で起こったのですが、4号機のプールが崩れれば、そのまま空気中に恐ろしいほどの放射能を噴き出すでしょう。

 

高橋

一刻も早く、しかも安全に、使用済み燃料プールからの燃料取り出しが行われることを、切に願います。ところで、アーニー・ガンダーセンさんが燃料棒を包んでいるジルコニウムは、あやまって空気にふれると自然発火すると言っています。

 

小出先生

すぐには自然発火しません。温度が850~900℃くらいになると燃えます。これは「ジルコニウム水反応」といいます。水とジルコニウムが酸化反応して水素を出すのですが、それが発熱反応なのです。一度反応すると熱が出て温度が上がる、温度が上がるとますます反応する。すると水素が出て、また温度が上がる、そしてまた反応する。この反応が一気にダーッと進んでしまいます。

 

高橋

一気にですか、じっくりじゃないのですか?

 

小出先生写真2.jpg

じっくりではありません。1、2、3号機ではこの燃料が原子炉の中にあって、そうしたことが起きました。冷却に失敗して、もともとは300℃くらいの冷却水があったのだけども、それがぬけてしまって、冷却できなくなった燃料の温度が崩壊熱でどんどん上がってきたわけです。400℃になって、500℃になって、800℃、900℃くらいになると、ジルコニウムが反応をはじめてそこがまた熱を出してくる。で、どんどん温度が上がって、また水素が出てくる。

 

高橋

それで水素爆発したのですか。

 

小出先生

そうです、それで水素爆発したのです。これがたとえば外部の空気中だとすると、空気には水分があります。ですから、それと反応するわけです。

 

高橋

空気中のわずかな水分で反応するのですか?

 

小出先生

もちろんです。目には見えないけれども、空気中には水分が必ずあります。ジルコニウムという金属の温度が上がってしまえば、かならず反応します。さて、4号機の使用済み燃料プールには、現在、1331体の使用済み燃料集合体があるわけですが(新燃料202体、合計1533体)、その中には大量の放射性物質が入っている。100万kwの原子力発電所なら1年運転すると、広島型原爆の1000発分の核分裂生成物をつくります。今、4号機の使用済み燃料プールの底にある1331体の使用済み燃料をあわせると、広島型原爆の1万4000発分くらいの核分裂生成物が、その底にたまっているわけです。

 

高橋

恐ろしい数字ですね。現在は4号機の使用済み燃料は水で冷却されていますが、崩壊熱自体はどの程度あるとお考えですか。

 

崩壊熱.jpg小出先生

事故から2年半経って、崩壊熱自身はずいぶん減っているし、使用済み燃料プールにある燃料の中には、事故発生よりずっと以前のモノも含まれていますので、さらに崩壊熱はかなり減っていると思われます。ですから、グラフにある2号機、3号機と書いてあるのと同じくらいだと思います。これを水を循環させることで30℃くらいに収めています。しかし、この冷却装置が壊れてしまったらどんどん温度が上がって、最後はやられてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 表題2(正)2.jpg

 

高橋

取り出し作業でのリスクは何ですか。

 

小出先生

プールの中の燃料を水の上に出すと強烈な放射線が空中に飛散しますので、これは、はじめからできないわけです。ですから作業は燃料取扱機を使って、水の中で燃料ラックから燃料集合体を取り出します。それを水の中でキャスクに入れます。もし、何かあるとすると、この過程でうまくキャスクに入れられないで、水の中で燃料集合体を落下させてしまうというのが考えられます。

 

高橋

そうするとどうなりますか?

 

小出先生

4mもある長い燃料集合体は物理的に破壊されると思います。燃料集合体を構成するひとつひとつのジルコニウムのパイプは、直径1cm、長さ4mという細い長い物干し竿のようなものですが、その中に燃料ペレットが入っていて、「死の灰」がそこにたくさん溜まっているわけですね。このパイプの中にまがりなりにも、放射性物質が封じ込められているから出てこない。でも、燃料集合体が落下するとその衝撃でこのパイプが折れるようなことがあれば、放射性物質は噴き出してくるわけです。すると、プールが放射能で汚れてしまう。一部の気体状の放射性物質は水面から外にも噴き出します。

 

   作業手順.jpg

  

高橋

プールの水が、汚染水になるわけですね。

 

小出先生

そうですね。すると、その時に作業員が被ばくするでしょう。そして、まずは逃げないといけない。逃げたところでプールの水は汚れているので、その水を浄化しなければならない。今、プールの水は循環しているので、その途中で除染するということもできるでしょうけれども、そのために何カ月も作業は停止するわけです。1331体これをやらなければならない。その内、1体でも落とすと大変なことになります。

 

高橋

確かに、プールの中での作業はカメラやセンサーで遠隔操作されますが、クレーンの操作などは建物の中で人がやるとのことですから心配ですね。さて、キャスクにうまく入れられた後に、キャスクごと落とすことは考えられないですか。

 

小出先生

あるかもしれないけど....。事故以前に取出し作業をやっていたときは、ちゃんとした建屋の中に、ちゃんとしたクレーンがあって、そういう状態でやっているわけですけども、今は、応急の建物を作り、応急のクレーンを用意しているわけですから、本当に今まで通りの作業ができるのかどうかは私にはよく分かりません。

 

写真3.jpg

 

 

 

■補足資料

  

①追加された二重のワイヤー 

東京電力『4号機使用済燃料プールからの燃料取り出しについて』2013.10.30

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/series/images/131030_01.pdf

 

二重ワイヤー.jpg

 

 

 

②プールの強度に関する、東京電力の新たな説明

東京電力「4号機使用済燃料プールからの燃料取り出しについて」2013.10.30

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/series/images/131030_01.pdf

プール強度.jpg

 

過去の資料

東京電力「使用済燃料プールから取り出した燃料集合体他の長期健全性評価」2013.4/ PDFの5ページ

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/d130412_01-j.pdf

 

補強部分.jpg

 

 

③燃料の形態「燃料集合体」とは

原子力発電所の燃料となるウランは、二酸化ウランに焼き固められて、ペレットに加工されます。このべレットを、ジルコニウム合金という金属でつくられたパイプに入れます。これを燃料棒といいます。直径1cm、長さ4mほどの長いもので、小出先生は「細い長い物干し竿のようなもの」と表現されています。

 

燃料棒の構造.jpg


さらに、燃料棒を束ね、燃料集合体をつくります。燃料集合体の構造や大きさは、沸騰水型炉(BWR)と加圧水型炉(PWR)とで異なります。4号機は沸騰水型炉で、9×9=81本の燃料棒が燃料集合体といて収められています。一般に、「燃料棒」というときに、この燃料集合体のことを簡略化していいますが、正確には燃料集合体です。4号機のプールには、この燃料集合体が1533体あり、うち使用済み燃料を収めたものが1331体あります。

 

 集合体.jpg

  

 

 

 

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