映画『朝日のあたる家』の哀しみと、愛

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
Clip to Evernote

 

 

これは福島の話ではない。人びとの心の中では福島原発事故は、すでに過去となった未来が舞台だ。しかし、そこで始まる出来事はまるで鏡ように今を映し出し、切なく、哀しい。

 

震度5強の地震が起き、原発から60km離れた街にやがて白い粉が降る。雪みたいと、手をひろげ庭にでる家族。テレビでは大学教授が原発について、爆発というよりも爆発的事象でしょうが今のところ放射能の心配はないです、と語っていた。

 

人々が毎日積み上げてきた営みが明日も必ずやってくるという信頼、家族みんなで頑張ればきっとうまくいくという希望、そうしたものをこの物語はねこそぎ奪いとる。

 

父は怒鳴る。畑を放りだし避難などできるか、テレビでも大丈夫だと言っているだろう。母は自分にうなずく。そうね、何回も原発事故なんか起きないわね。だが、今夜だけだと避難した体育館で、長女あかねは大量の放射能を浴びたことを知る。妹の舞はシャワーを5回も浴びさせられる。一家の笑いは、消えた。

 

季節が移り、テレビでは何ごともなかったようにお笑い番組が放送されている。父は仮設住宅で昼から酒を飲み、鼻血を何度も出すようになった舞は医者にストレスだといわれる。2時間に限られた一時帰宅で長女あかねは、私はここで暮らす、ここに残る、私の家だもの、とマスクを投げ出す。母は、しっかりしなさい、と娘をぶった。

 

入院してしまった妹の舞と沖縄からやって来た叔父(山本太郎)が二人きりで病室にいる。叔父ちゃん、私、いつまで生きられるんだろう、30歳までに死んじゃうのかなあ、と微笑みながら舞は涙をうかべる。大丈夫や、今なら間に合う、舞は死なへん、俺がそんなことさせるか、結婚して子どもを産んだら叔父ちゃんが名付け親になる、俺が死んで舞がおばあちゃんになったらみんなに伝えるんだ、長生きしなくちゃいけない、死んだ沖縄の叔父ちゃんが言っていたと。明日にすがるようにひとつひとつ言葉にした叔父に、舞は涙しながらも笑いだす。廊下で立ち聞きしていた母とあかねは、声をおしころし、泣き崩れた。

 

この物語には希望はない。ただ、愛だけがある。

朝日のあたる家②.jpg

 

 

 

★「朝日のあたる家」全国公開スケジュール

http://www.asahinoataruie.jp

●9/14日(土)豊川コロナシネマワールド(愛知・豊川)●9/21日(土)半田コロナシネマワールド(愛知・半田)、大阪シアターセブン(大阪 十三)●9/28日(土)東京 アップリンク (東京 渋谷) 、中川コロナシネマワールド(愛知・名古屋)●10/12日(土)金沢コロナシネマワールド(石川)●10/19日(土)横浜シネマ・ジャック&ベティ(横浜)、福井コロナシネマワールド(福井)、大垣コロナシネマワールド(岐阜)●10月26日(土)愛媛シネマルナティック(松山)●11/2日(土)青森コロナシネマワールド(青森)●11/16日(土)小倉コロナシネマワールド(福岡)

★さらに、全国の映画館に上映要請の電話をしよう

 

 

 

end.jpg

Clip to Evernote