政府の『凍土方式』の遮水壁とは、何だ

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政府の汚染水処理対策委員会は今年5月30日、福島第1原発で増え続ける汚染水の対処方法について、『凍土方式』という遮水壁を設置するよう指示しました。

 

これは、『凍結管』というものを地盤中に所定間隔(たとえば1m)で設置し、この中に冷却材(たとえば-40℃)を循環させ、凍結管のまわりに『凍土の壁』を作ろうというものです。2年後の2015年上期にようやく完成するようで、それまで溶けた炉心と地下水の接触回避はできません。

 

しかも、この方式は「これまで2年程度の運用実績があるものの、大規模かつ10年を超える運用実績はなく、継続的に冷凍機を運転させる必要があることから、津波対策を含めた凍土システム(凍結装置、電源設備)の長期的な信頼性を確保する必要がある」と同委員会自身が、大きな不安を認めています。

 

また、汚染水を貯留するアイディアとして、京都大学原子炉実験所の小出裕章先生は事故直後から、海洋タンカーを使うべきだと主張していきましたが、この検討がようやく行われました。委員会は「個々のタンクと比較して、大きな貯蔵容量が確保できることに加え、中古のタンカーを活用することで、比較的低コストでの調達が可能である。しかし、万が一、漏えいが起こった場合には即座に海洋に流出することになるため、津波等の自然災害時の耐久性やタンカーの漏えい防止策の信頼性について検証を行うことが必要である」としています。

 

凍結方式について小出先生は、「このやり方ではずっと冷却を続けなけなければならず、長期間のことを考えると望ましくないと思います。もちろん緊急性もありますので、まずはこれでやるということなら構いませんが、やはり長期間耐える構造物にするべきだと思います」とおっしゃっています。

 

3.11直後の3月下旬に、小出先生は次の二点を提案されています。

①  汚染水を海洋タンカーに入れ、柏崎刈羽原発まで運び、そこの廃液処理装置で処理するべきだ

②  メルトスルーの可能性があるため、地中深くまで遮水壁をつくり、溶けた炉心と地下水の接触という最悪の事態を避けるべきだ

 

ところが、政府はこうした提案を無視し、事態をここまで悪化させました。聞く耳を持たない、しかも無能な政府、官僚、東電経営陣が、順調に事故収束できると思えません。これほど実務能力のないリーダーたちが、何を計算しているのか再稼働をもくろみ、日本をさらに危険にさらそうとしているのです。

 

 

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鹿島建設『凍土遮水壁による地下水流入抑制案』

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/130426/130426_02k.pdf

 

政府・汚染水処理対策委員会『地下水の流入抑制のための対策』

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/c130530_03-j.pdf

  

東京電力『陸側遮水壁(凍土方式)による1~4号機建屋内への地下水流入量低減方策の検討』

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/130701/130701_01g.pdf

  

毎日新聞『福島第1原発:汚染水抑制、凍土で遮水壁設置へ』

http://mainichi.jp/select/news/20130531k0000m040075000c.html

 

 

 

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