不道徳国家、お笑い国家さながら

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元在スイス大使の村田光平さん、お話をうかがいました(後半)。

 

原発の収束が何もできていない日本が、オリンピック誘致をすること自体、不道徳国家なのです。倫理観のある世界中の人は、ちゃんと見ています。開催などできないのです。

 

それにもまして依然、この地震大国にこれだけの原発があり、再稼働させようとしています。地震が原因で、福島第一原発事故が起こったとなると、耐震基準を改める必要が生じ、すべての原発を止めなくていけません。だから、何とか津波のせいにしたいのです。

 

同時に危惧しなくてはいけないのは、原発へのサイバー攻撃です。これにより原発のメルトダウンを起こしうる、と考えらえています。米国を含め、このことで深刻な危機感が生じているのです。地震大国、津波大国の日本中に原発を作ったことが、実は日本中に自らを攻撃する核兵器を配置しているのと同じだとなれば、お笑いなのです。お笑い国家ですね。

 

温暖化と二酸化炭素の問題を一概に否定することはできません。しかし、IPCCが温暖化と二酸化炭素の問題を警告したことを、原子力推進のひとたちが利用したというのは事実でしょう。何でも利用します。金と力があり、倫理がなければ何でも悪いことをするんです。

 

今の政府の原子力政策には絶望しています。世界から見ると、日本は本当に嘘をつきまくっています。しかも、嘘をつかれても国民は怒らないでしょう。日本は正しい武士道精神がなくなったのです。私は、武士道精神が必要だと思います。今の状況は、責任感・正義感・倫理観の「三カン欠如」に起因する「日本病」です。

 

フクシマ・日本は、軍事、民事(原発)を問わない核廃絶を、世界中に発信しなければいけません。私は4年半前に、『地球倫理国際日』を言い出しました。その際「倫理」の意味するものを詳細につめないでおこう、という立場をとりました。言い出すと、そこで論争がはじまって前に進まないからです。何とか『国連倫理サミット』実現への道を開きたいです。倫理と責任に欠ける、『核の平和利用』は認められないのです。

 

 

村田さん②.jpg

 

 

 

インタビュー(後半)

温暖化問題と原発の問題をどう考えますか

 

 高橋

1900年16億人だった世界人口が、2000年には60億と2次曲線的に人口爆発が起きました。しかし、増加率は1965年から1969年に2.1%のピークをたどり、そこから低減を始め現在は1%を切っています。こうした人類史にとっても最もホットだった20世紀に核が生まれて、他にもやりようはあるのですが、原発がエネルギーを支える役割を担ってきました。

 

2-1.jpg村田さん

私は、10数年前からGDP経済学にとって代わる「知足経済学」を提唱しています。一部の「勝者」のみが贅沢に生き残るような社会は、民主主義、人道の見地から言って、極力避けなければなりません。求めるものは、最大多数の最大幸福です。ところが、この期に及んでも、まだ、成長、成長、消費、消費というのはおかしいわけで、長続きするわけがありません。効率、効率、と追いかけていくと、しまいには人間が必要なくなってきます。機械化が今も失業を生んでます。

  

 

高橋

ところで、国際舞台で活躍されている村田さんにとって、温暖化問題と原発の問題は、どのように昇華されていますか。

 

村田さん

温暖化と二酸化炭素の問題を一概に否定することはできません。どちらかを選べというなら、緊急性から放射能問題を先に解決すべきでしょう。ただ、IPCCが温暖化と二酸化炭素の問題を警告したことを、原子力推進のひとたちが利用したというのは事実でしょうね。何でも利用します。ようするに、金と力があれば、倫理がなければ何でも悪いことをするのですね。

  

 

不道徳国家、お笑い国家さながら

 

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村田さん

原発事故が収束からほど遠いいと海外からみなされている状況の下で、オリンピック誘致をするのは無責任、不道徳国家とのそしりを免れません。それにもまして、この地震大国にこれだけの原発があるというのは、とても危険です。国会事故調に参加された田中三彦さんは、今回の福島事故の原因を地震だと確信していますね。東電が国会に黒塗りの資料を提出するなどあらゆる策を弄して地震事故説の確立を阻止しようとしている状況証拠からもそう判断されます。

 

 

高橋

私も国会事故調の報告を丹念に読んで、そう思いました。民主党の川内前衆議院議員も東電以外では1号機に初めて入り、同じような感想を述べられています。小出先生は30年前の論文で、地震ですべての機能を失う危険性をすでにご指摘されています。私たちの調べでは、地球上で地震が多い新期造山帯に原発は68基あり(全体は431基)、そのうち54基は日本です。

 

村田さん

そうなのです。非常に危険です。地震が原因だということになると、現在の原発の耐震基準の改定が必要となりますから、すべての原発を長期間とめなくていけません。だから、何とか津波のせいにしたいのです。

 

高橋

小出先生は、原発を作ることは核兵器を作るための布石だ、ということを指摘されています。確かに、核兵器保有国では、原発はそうした機能を確実に果たしてきました。

 

村田さん2-3.jpg

今、最も危惧しなくてはいけないのは、原発へのサイバー攻撃です。これをやられては、ひとたまりもありません。日本を守るためなどと考えて日本中に原発をつくったとしたならば、これは日本中に自らを攻撃する核兵器を配置しているのと同じで、お笑いなのです。お笑い国家ですね。

  

   

  

  

 

日本は完全に武士道精神がなくなったのです

 

高橋

村田さんは、今の政治家に何を期待しますか

 

村田さん

いや、今の政府の原子力政策には絶望していますね。これを放置する政治家に絶望しています。もちろん、中にはしっかりしている人もいますが。世界から見ると、日本は本当に嘘をつきまくっていますね。しかも、嘘をつかれても国民は怒らないでしょう。日本は正しい武士道精神がなくなったのです。私は、武士道精神の復興が必要だと思います。今の状況は、責任感・正義感・倫理観の「三カン欠如」に起因する「日本病」です。

 

高橋

村田さんと初めてお会いしたのは、昨年12月、外人記者クラブで小沢一郎さんの記者会見の時です。今回の選挙で、小出先生のお話をきちんと訊いて、それを公約に入れたのは生活の党だけです。

 

村田さん

このあいだテレビを見ていたら小沢さんが、すべての力を事故処理にそそぐ、と言っていました。そういう意味では、今、小沢さんが一番やるべきことを言っていると思います。強力なリーダーシップがないと事故処理はすすまないですね。

 

高橋

それにしても、村田さんは上品な方、という印象がありますが、こうしてお話をしていますと武士道精神を大事にされる侍、という感じがしますね。

 

2-4.jpg村田さん

広島、長崎、福島を経験した日本は、軍事、民事(原発)を問わない核廃絶を、世界中に発信しなければいけません。私は4年半前に、『地球倫理国際日』を言い出しました。その際「倫理」の意味するものを詳細につめないでおこう、という立場をとりました。言い出すと、そこで論争がはじまって前に進まないからです。何とか『国連倫理サミット』実現への道を開きたいです。倫理と責任に欠ける『核の平和利用』は認められないのです。

  

 

 

高橋

村田さんの、国内外を問わない、『倫理』を軸にしたご活躍を、心強く思います。ぜひ、今後も私たちを導いてください。ありがとうございました。

 

 

 

【参考】村田光平さんの提唱する『母性文化』

村田さんは、日本はもともと母性文化であったが近代化で失われたと分析し、この復権を提唱されています。近代日本の父性文化と比較されていますので、その一部をご紹介します。母性文化/父性文化というかかたちで、競争/調和、対立/協調、厳格/寛容、知性重視/感性とのバランス、トップダウン/ボトムアップ、保守主義/革新主義など、そして原子力エネルギー/自然エネルギーと登場させ、独裁/民主主義と結んでいます。とても興味深いです。

 

 

【村田光平氏プロフィール】

1938年東京生まれ。

1961年東京大学法学部卒業、二年間外務省研修生としてフランスに留学。その後、分析課長、中近東第一課長、宮内庁御用掛、在アルジェリア公使、在仏公使、国連局審議官、公正取引委員会官房審議官、在セネガル大使、衆議院渉外部長などを歴任。

1996年―1999年、在スイス大使。

2000年―2002年 京セラ顧問、稲盛財団評議員。

1999年―2011年 東海学園大学教授。

現在、地球システム・倫理学会常任理事、日本ナショナルトラスト顧問、東海学園大学名誉教授など。

 

オフィシャルサイト:http://kurionet.web.fc2.com/murata.html

 

 

 

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