安倍さんは関心を示してくれなかった

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元在スイス大使の村田光平さん、お話をうかがいました(前半)。

 

福島の事故の最大の教訓は、原発そのものはいかなる核兵器よりも危険である、ということが立証されたことです。この現実について、ちゃんと感性と倫理観があれば誰も反対できないのです。原発の危険性は、感性があれば10冊、100冊の本を読まなくても分かるはずです。今の電力問題、エネルギー問題などの議論は、この感性に煙幕をかぶせることに過ぎません。

 

まず、原発を止めなければいけないのです。人間の英知というのは、そこから始まります。原発ゼロと決めれば、うまくやる方法はいくらでも生まれるでしょう。

 

放射能が子どもに及ぼす危険は、大変な問題です。昨年の10月、安倍総理にこの問題で会いに行きました。しかし、安倍さんは関心を示してくれなかったのです。子どもたちを集団疎開させるべきですが、今の政権の反応は冷たいですね。

 

ウクライナではチェルノブイリ原発事故の被害を、政府が発表しています。それによれば、放射能被害で病気になった被害者の数は260万人、そのうち子どもは62万人という数字が出ています。恐ろしいです。ところが、現在の日本は、こうした放射能の被害問題をできるだけ小さく見せようとしています。日本の人口が半分以下のウクライナが、この程度ですから、日本はもっと深刻なわけです。

 

今年3月11日に、イタリアで開催されたユネスコクラブ世界連盟は、3月11日を『地球倫理国際日』とする、と決めました。これは、3.11という日本の震災に焦点を合わせた、という点で大きな意味があります。しかし、マスコミはこのことを一切報道しません。来年は、ワシントンで開催され、私もスピーチを頼まれています。できれば、その時に『国連倫理サミット』実現への道を開きたいです。そうした、世界からの『倫理』の包囲で、日本の道を正したいです。

 

 

村田さん①.jpg

 

 

 

インタビュー(前半)

ユネスコクラブ世界連盟は、

3月11日を『地球倫理国際日』と決めました

 高橋

第二次世界大戦で核兵器が使われ、戦後、それをもつことが平和維持に必要なんだという論理で、冷戦構造のなか大量の核兵器作られました。それと同時に、『核の平和利用』という論理で膨大な原子力発電所が作られました。核と私たちはどのような関係にありますか。

 

①.jpg村田さん

核と人類は共存できない、原発事故は人間社会が受容できない、ということがすでに完全に立証されています。ところが、今日の『原子力独裁』は、戦時中の軍国主義とまったく同じです。何を言っても聞かない、どんな正しいことを言っても無視する。原子力発電所は危険だ、といくら言っても彼らは聞かなかった。そしているうちに、福島の事故は起きてしまったのです。それでも、『原子力独裁』は一切反省しない。それどころか、巻き返しをはかっているのです。

 

 

 

高橋

そうですね、事故収束だけみても、3.11当時より、今、汚染水として飛び出している放射能は多くなっています。問題は小さくなるどころが、ますます大きくなっている。一方で、『原子力独裁』は世論操作や再開稼働にむけて、巻き返していますね。

 

村田さん

しかし、私はかならずしも悲観していません。こうした過ちに対して、世界的視点から見ると、『倫理の逆襲』が起きているのです。

今年3月11日に、イタリアで開催されたユネスコクラブ世界連盟は、3月11日を『地球倫理国際日』とする、と決めました。3.11という日本の震災に焦点を合わせた、という点で大きな意味があります。しかし、マスコミはこのことを一切報道しません。来年は、ワシントンで開催され、私もスピーチを頼まれています。できれば、その時に『国連倫理サミット』実現への道を開きたいです。

もうひとつ、核戦争防止国際医師会議(IPPNW、1980年設立、83カ国、20万人の医者が参加)が、6月の初めに宣言を出しました。「福島事故は収束から程遠い、そして原子力発電所はすべての世界中の人を無差別に放射能汚染にさらし、きわめて危険である」と。この組織はこれまで核兵器に反対していいたのですが、『核の平和利用』の反対にも踏み切ったわけです。画期的なことです。しかしマスコミはこのことについても報道しません。

 

   

原発そのものはいかなる核兵器よりも危険である

 

高橋②.jpg

『核の平和利用』の拒否に、倫理観がはたす役割は非常に大きいですね。ドイツでも、科学的な議論だけではなく、倫理や哲学から原発を論じる委員会がつくられ、脱原発へすすむという経緯があります。

 

村田さん

福島の事故の最大の教訓は、原発そのものはいかなる核兵器よりも危険である、ということが立証されたわけです。この現実について、ちゃんと感性と倫理観があれば誰も反対できないのです。原発の危険性は、10冊、100冊の本を読まなくても分かるはずです。今の電力問題、エネルギー問題などの議論は、この感性に煙幕をかぶせることに過ぎません。

 

高橋

いまだに『核の平和利用』とこの人間社会を、技術的、経済的、政治的に、何とか折り合わせようとする勢力がいますが、一般の人たちはこの『平和利用』という原点を信じて、その折り合いを見守る人々が多いですね。たとえば電力が足りるとか、足りないとか、燃料費が高いとか、貿易収支が赤字になるとか。

 

③.jpg村田さん

そう、そう、感性のある人には馬鹿らしくて聞いておられません。感性があれば誰でも分かります。まず、原発を止めなければいけないのです。人間の英知というのは、そこから始まります。原発ゼロと決めれば、うまくやる方法はいくらでも生まれるのでしょう。IAEAは、核拡散しないようにしながら、『核の平和利用』を促す任務を持っているが、これは両立しません。広島や長崎の核兵器廃絶運動も、核拡散をもたらした『核の平和利用』について反対をしなければ、まったく『魂』が入っていません。

  

  

安倍さんは関心を示してくれなかった

子どもたちを集団疎開させるべきです

 

高橋

そうした無意味な議論とはまったく関係なく、漏れ出た、あるいは今も漏れている放射能で、子どもたちの生命の危険性が心配されています。

 

村田さん

これは大変な問題です。昨年の10月、安倍総理にこの問題で会いに行きました。しかし、安倍さんは関心を示してくれなかったのです。子どもたちを集団疎開させるべきですが、今の政権の反応は冷たいですね。

 

高橋

放射能の問題は、疫学的な相関性を示す数値もなかなかとれない、医学的に因果関係の立証も簡単ではない。まして、電力のようにすぐに表に現れてきません。こうした、切断面が見えないフクシマということに、どのような感性を働かせるといいですか。

 

村田さん④.jpg

ウクライナではチェルノブイリ原発事故の被害を、政府が発表しています。それによれば、放射能被害で病気になった被害者の数は260万人、そのうち子どもは62万人という数字が出ています。恐ろしいです。ところが、現在の日本は、こうした放射能の被害問題をできるだけ小さく見せようとしています。日本の人口が半分以下のウクライナが、この程度ですから、日本はもっと深刻なわけです。

 

高橋

そんな国が、オリンピックを誘致するのに躍起です。

 

村田さん

福島の事故処理に、国は本来の責任を果たせていないと思います。私が訴え続けている事故処理の国策化をためらっております。だからこそ、日本の外から「福島事故は収束から程遠い」と、IPPNWが宣言を出すわけです。宣言を見た世界中の人たちは、なぜ日本はオリンピック誘致などするのだ、とんでもない、不道徳国家だと見ているわけです。私は猪瀬知事にも、そのことを数度にわたり伝えています。

 

 

 

【村田光平氏プロフィール】

1938年東京生まれ。

1961年東京大学法学部卒業、二年間外務省研修生としてフランスに留学。その後、分析課長、中近東第一課長、宮内庁御用掛、在アルジェリア公使、在仏公使、国連局審議官、公正取引委員会官房審議官、在セネガル大使、衆議院渉外部長などを歴任。

1996年―1999年、在スイス大使。

2000年―2002年 京セラ顧問、稲盛財団評議員。

1999年―2011年 東海学園大学教授。

現在、地球システム・倫理学会常任理事、日本ナショナルトラスト顧問、東海学園大学名誉教授など。

 

オフィシャルサイト:http://kurionet.web.fc2.com/murata.html

 

 

 

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