私たち大人が、自主避難コストを負担すべき

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福島県からの自主避難の数は、正確なものはなく推定値が使われます。NHKでは避難区域から8万5人、自主避難7万人、合わせておよそ15万人以上としています。図は、福島県を放射線(文部科学省調査)の強さで地域分けし、そこに住む0歳から14歳の人口減少率を示したものです。明らかに、放射線が強いほど、減少率が高いことが分かります。

 

長期的な同年齢群の減少率は、年間1%程度ですから、この減少は人口移動つまり「自主避難者」と考えられます。福島県全体では15万人が減少しています。また、この傾向は福島県にとどまらず、線量の高い栃木県日光市では7.2%減、那須町11.6%減という状況もあります。明らかに、自主避難のニーズはあるのです。

 

私たちは先の投稿で、追加線量1mSv/年(正確に0.87)を超える地域に居住する、0歳~14歳の人口を、およそ40万人と推定しました。この子どもたちが、避難できる選択権を得ようとすると、どのくらいのコストが必要なのでしょうか。

 

東電が賠償として、指示避難(強制)をしている人、あるいは自主避難地域の人に、一定額支払っていますが、妥当とは思えずここでは参考にしません。仮に、避難生活への支援として一人の子どもに月額10万円を支払うと、毎年4800億円が必要です。10万円が少ない、あるいは多いと思われるならいろいろ計算してください。

 

4800億円は、毎年必要な金額です。拡大された復興予算25兆円で一部を吸収する方法もあるでしょう。規模の参考に税収では、たばこ税は8270億円、消費税5%で13兆4900億円です。また、東京電力の売上高は5兆1078億円(電気事業)で、およそ10%程度の電気料金の値上げでこれを吸収できます。

 

子どもを助けるということは、大人がせめて、そのコストを負担するということでしょう。東京都民の私は、子どもの避難のための10%の電気料金値上げを受け入れます。それでも、家族が分断されることや、ふるさとを離れることの痛みは、負担できないのです。まして、これまで被ばくした身体を思うと、泣いて謝ることしかできません。

   

 

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< 解説 >

 自主的避難を握りつぶそうとする、国、そして東電

自主避難に関する数値を、正確に把握しない国や自治体に対して大きな不信感と憤りを感じます。しかも、避難の理由があたかも放射能に由来するものでないように、調査では詳細な実情報告もありません。一方で、「年間20ミリシーベルトでも大丈夫」と国は大宣伝をしているのです。

 

東電の賠償額は実情を解決できるものとはとても思えません。国によって『自主的避難等対象区域』(下部地図)と認められた地域からの自主的避難者に対し、事故発生から平成23年12月末までの損害として以下を一次賠償しています。

  ① 子どもと妊婦

     1人40万円を目安とする。

  ② その他の自主的避難等対象者

     事故発生当初の時期の損害として1人8万円を目安とする。

 

そして、平成24年1月1日から同年8月31日の間に、二次賠償の受付をしています。(下部表①)大人2名と子ども2名のケースでは、慰謝16万円、費用に対する賠償4名×4万円=16万円、合計で32万円です。これは毎月ではありません、あくまで1回だけです。しかも、この賠償金を受けとると今後の請求が一切できない、という条件がつきます。このほか『県南地域』はこの賠償額よりさらに減額されます。まして、福島県以外の地域では一切認められていません。

 

一方で、こうした理不尽な対応に対して、『自主的避難等対象区域』から外された『県南地域』の白河市から、損害賠償を申し立てた自主的避難者がいます。東電は、慰謝料を含め、計134万7190円を支払うことになりました。

 

 

「避難区域外からの避難者、東電が170万円賠償 」(読売新聞) 2013.4.17

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130417-OYT1T01012.htm

「初の賠償実現、東電と和解成立」(IWJブログ)2013.4.22

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/74563

 

「自主的避難等に係る損害に対する追加賠償について」(東電)2012.12.5

http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1223477_1834.html

 

●『自主的避難等対象区域』:http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120228e.pdf

福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、相馬市、新地町、いわき市)のうち避難等対象区域を除く区域

 

●『県南地域』:

白河市、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村

 

 (地図) 自主的避難 賠償対象地域

東電賠償地域.jpg

 

 

 (表①)

 

賠償額2.jpg

 

 

 

(表②)人口減少

人口減少数.jpg

エクセルデータ:空間線量別人口インパクト20013.6.4.xlsx

 

< 資料と計算方法 >

 

① 市町村の線量区分

資料は、文部科学省の「放射線量等分布マップ」(航空機モニタリング等)を用いています。

   1) 細かい地図から市町村を読みとる

   2) 該当市町村の空間放射線量を読み取る

   3) 森林などある場合は、生活圏の数値を読みとる

   4) 生活圏で線量が分かれる場合は、高い値を用いる

   5) ただし、高い値は全体の2~3割以上とならないときは、低い値を用いる

 

事前に民間の線量調査と文部科学省のデータを部分的に比較し、大きな差異がないとことを確認しています。ただし、民間の調査は2011年当初は多くの地域で行われていましたが、現在は極めて限定的であり、全国的調査には使えませんでした。

 

     文部科学省:放射線量分布マップ   http://ramap.jaea.go.jp/map/

 

 

② 年間線量への変換

取り上げた放射線量は、事故とは関係ない自然界の放射線は差し引かれており、その意味で原発事故による「追加被ばく」という計算をしています。この計算では外に8時間、建物の内部に16時間(遮蔽率0.4)という、環境省の考え方を採用しています。計算方法で議論をしないためです。

 

     ★時間あたりを年間に変える換算率:「1mSv/年=0.23μSv/時間」を使用

    http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18437&hou_id=14327

 

 

③ 市町村人口

震災前と震災後の数値を比較することを念頭に置いていますので、国勢調査などは使えません。そこで、各県から発表されている数値を用いました。しかし、公開内容は県によって異なり、共通して比較できる数値は以下のように限定されました。

   1) 震災前2010年10月、震災後2012年10月

   2) ただし、この期間の数値の発表のない県はそれ以外を使用。詳細はエクセルデータに記載

   3)年齢不詳人口」を除外した

  4)各市町村からの報告により作成している年齢別3区分調査のため、住民基本台帳の集計方法により    

   県市町村課で取りまとめる住民基本台帳人口とは異なる場合がある

 

 

④ 避難地域の取り扱い

国によって避難指定されているところは、現在、「帰還困難地域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」「計画的避難区域」と分類されており、その該当地域は常に変化しています。      http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html

 

   1) 原則2012.2.18時点のデータを用いるhttp://f-renpuku.org/?p=789 

   2) 上記より、震災前人口と比較し、明らかに全員が避難している考えられる場合は、その値をゼロとした

   3) その後、一部の高線量地域で帰還している人がいるが、これは今回の調査からは除いた

 

⑤ 長期的人口の減少と増加

なお、0歳~14歳までのグループは、日本全体で長期的に減少し、逆に65歳以上は増加しています。したがって、単純に増減を議論できません

1)0歳~14歳、2001年前年比98.8%、2002年98.9%、順次98.9%、99.0%、99.2%、99.1%  、99.2%、99.3%、99.0%、2010年99.0%

2)65歳以上、2001年前年比、2002年103.8%、順次103.3%、102.9%、102.3% 、103.6%、103.3%、103.2%、102.7%  、102.8%、2010年101.7%

 

 

 

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