40万人の子どもと、放射線

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0~14歳の子どもたち約40万人が、原発事故による追加の年間放射線量1ミリシーベルト以上(正確には0.87)にさらされています。さらに、2ミリシーベルト(正確には2.17)以上は、12万2千人で、すべて福島県です。これは、もともとある困難ではなく、福島原発事故によって、おとなが作った人為的困難です。いま、この困難を子どもたちに背負わせようとしています、私たちと、この国は。

 

二人の女性がGWや休日をつぶし、1ヶ月間調査したKAZEオリジナル資料です。全国の市町村を、文部科学省の放射線量別マップで分類し、該当人口を割り出しました。線量区分は文科省の区分であり、0~14歳で区切ったのは各県から公開されている共通データで、私たちの意図はありません(他の年齢群、市町村別などの詳細、計算方法などはWeb解説を参照下さい)。

 

ここであつかう量は、自然界にもともとある放射線を除いた、福島原発事故によって追加された、直近の追加年間被ばく線量(ミリシーベルト=mSv)です。今回は、被ばく=外部被ばく+内部被ばくのうち、外部被ばくに着目しています。また、人口は住民票をベースとしています。ただし、国による避難地域のみ2012年2月現在の数値を用い、その後、さらに高線量地域へ帰還した数は考慮されていません。

 

かりに追加線量1mSv/年を意識して、0.87 mSv/年以上に居住する0歳~14歳の人口(オレンジ、赤)を読みとると、福島県200,609人、宮城県5,853人、茨城県51,966、栃木県57,542人、群馬県27,787人、千葉県54,640人、合計398,397人、およそ40万人となります。2.17~4.35mSv/年に限ると(赤)、福島県で121,926人となります。

 

放射能感受性は、児童より幼児、幼児より乳児、とより小さな子どもほど高く、より深刻になると言われています。また、地域や年間で平均化するシーベルト計算だけでなく、ホットスポット土壌・水質の存在、そして吸引・食事などの内部被曝により着目する必要があります。

 

私たちは、「子ども」という代名詞ではなく、対象人数と該当地域を明らかにできる精密な調査を、政府に強く要求します。


 

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< 解説 >

 福島原発事故による追加された放射能は、福島だけではない

 文部科学省による調査では、新たに福島原発事故によって追加された放射線量にさらされている、0歳~14歳の子どもたちは3,114,292人となります。この300万人にもおよぶ子どもたちが、大人の都合によって原子力発電所事故の責任を押しつけられようとしています。

 

今回、提示している数値はあくまでも外部被ばくの目安となる、空間線量です。しかし、これは被ばくの7割から8割が内部被ばく(吸引・食事)と言われている中で、まったく十分なものではありません。なぜ、空間線量に着目したかは以下の理由があります。

 

① 一般的に、これまで空間線量がひろく議論されてきたので、いったん、この方法で整理をする

 

② 政治的な課題として議論するには、取り急ぎ、対象となる人口をテーブルにのせる必要がある

 

③ 今回の調査が「不十分である」ということを明確にすることで、内部被ばくの焦点となる土壌、水質、

  食糧のベクレル単位の調査を一層促す

 

放射能は移動します。特定の地域でも風や水の流れによって、生活圏にもきわめて線量の高いホットスポットが生まれます。森林、河川、海にもこうしたホットスポットが生まれ、生態系に大きな影響を与えることが懸念されます。放射能との闘いは、より困難な段階に入っているのです。

 

 

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 エクセルデータ:空間線量別人口インパクト20013.6.4.xlsx

 

< 資料と計算方法 >

 

① 市町村の線量区分

資料は、文部科学省の「放射線量等分布マップ」(航空機モニタリング等)を用いています。

   1) 細かい地図から市町村を読みとる

   2) 該当市町村の空間放射線量を読み取る

   3) 森林などある場合は、生活圏の数値を読みとる

   4) 生活圏で線量が分かれる場合は、高い値を用いる

   5) ただし、高い値は全体の2~3割以上とならないときは、低い値を用いる

 

事前に民間の線量調査と文部科学省のデータを部分的に比較し、大きな差異がないとことを確認しています。ただし、民間の調査は2011年当初は多くの地域で行われていましたが、現在は極めて限定的であり、全国的調査には使えませんでした。

 

     文部科学省:放射線量分布マップ   http://ramap.jaea.go.jp/map/

 

 

② 年間線量への変換

取り上げた放射線量は、事故とは関係ない自然界の放射線は差し引かれており、その意味で原発事故による「追加被ばく」という計算をしています。この計算では外に8時間、建物の内部に16時間(遮蔽率0.4)という、環境省の考え方を採用しています。計算方法で議論をしないためです。

 

     ★時間あたりを年間に変える換算率:「1mSv/年=0.23μSv/時間」を使用

    http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18437&hou_id=14327

 

 

③ 市町村人口

震災前と震災後の数値を比較することを念頭に置いていますので、国勢調査などは使えません。そこで、各県から発表されている数値を用いました。しかし、公開内容は県によって異なり、共通して比較できる数値は以下のように限定されました。

   1) 震災前2010年10月、震災後2012年10月

   2) ただし、この期間の数値の発表のない県はそれ以外を使用。詳細はエクセルデータに記載

   3)年齢不詳人口」を除外した

  4)各市町村からの報告により作成している年齢別3区分調査のため、住民基本台帳の集計方法により    

   県市町村課で取りまとめる住民基本台帳人口とは異なる場合がある

 

 

④ 避難地域の取り扱い

国によって避難指定されているところは、現在、「帰還困難地域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」「計画的避難区域」と分類されており、その該当地域は常に変化しています。      http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html

 

   1) 原則2012.2.18時点のデータを用いるhttp://f-renpuku.org/?p=789 

   2) 上記より、震災前人口と比較し、明らかに全員が避難している考えられる場合は、その値をゼロとした

   3) その後、一部の高線量地域で帰還している人がいるが、これは今回の調査からは除いた

 

⑤ 長期的人口の減少と増加

なお、0歳~14歳までのグループは、日本全体で長期的に減少し、逆に65歳以上は増加しています。したがって、単純に増減を議論できません

1)0歳~14歳、2001年前年比98.8%、2002年98.9%、順次98.9%、99.0%、99.2%、99.1%  、99.2%、99.3%、99.0%、2010年99.0%

2)65歳以上、2001年前年比、2002年103.8%、順次103.3%、102.9%、102.3% 、103.6%、103.3%、103.2%、102.7%  、102.8%、2010年101.7%

 

 

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