これからはどうしても、専門家が必要

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(小出先生)

日本が原子力をやろうとした頃、それをやる人材が必要になりました。1960年代から原子力をやる専門家を養成しなければいけないということで、7つの旧帝国大学すべてに原子力工学科、原子核工学科というのをつくりました。

 

当時は、日本も世界もこれからは原子力の時代なんだという夢と希望にあふれていました。だから私を含めてたくさんの若者がそこをめざしました。自慢に聞こえると申し訳ないのだけれども、工学部の中でも原子力は一番難しかったです。

 

その後世界中に原発が増えていくわけですが、問題もいっぱい起きてきて、だんだん原子力はだめだと分かってくるわけです。すると20年くらい前から、だれもこの学問を学ぶ学生がいなくなった、7つの旧帝国大学からこの学科がすべて消えて、特殊な大学しかない。だから原子力専門家は、もう育っていないのです。

 

このことで一番危機を感じている人は、原子力を推進しようという人達です。ですから、文科省も大学で原子力工学をつくってくれたら、山ほど金をやるからというわけですが、大学の方は学生が来なければ意味がないわけですからできません。

 

しかし、これからはどうしても専門家が必要なわけです。廃炉だってそうだし、広島型原爆120万発分ある高レベル放射性廃棄物、これを何とかしなくてはいけないという世代責任が私たちにはあるわけです。でも、私のような世代が原子力に夢をもってつくってしまったゴミ、この始末が必要だからといって、そのために若い世代にお前の命をよこせといっても、難しいと思います。私は、不安であります。

(終)

 

KAZE to HIKARI.13012

 

【お詫び】

小出先生の「広島型原発1120万発分」は高橋の誤りで、正しく「広島型原発120万発分」です。小出先生と読者の皆様に混乱をまねきましたことを、心からお詫び申し上げます。

 

 

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⑧小出裕章さんにお話をきく。-7「京都大学原子炉実験所の問題について。

http://www.youtube.com/watch?v=G17OlYOK0B8

 

 

 

●原子力をめざす学生が、3.11で激減

 図のように、量的には1990年代から原発の建設と大学の学科数が相関しながら減少しています。小出先生は、まず旧帝国大学から順に原子力関係の学科がなくなったことを指摘されています。

  

就職活動向け『原子力産業セミナー』の来場学生数は、リーマンショックの影響もあり、年々増えていました。しかし、3.11の前の年は1903人だった学生も、原発事故の翌年は496人と26%までに激減しました。

 

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●原発1基換算の人員

 日本の学生が少ないのはすぐに分かります。また昨年、アメリカではGEが再生可能エネルギーやシュールガスにシフトし、原発の組織を縮小しているので、メーカーの従事者はもっと少ないでしょう。パテントビジネス中心ですから人員は多くはいりません。

 

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●高レベル放射性廃棄物(ゴミ)ではなく、「資産」

 もともとは、使用済核燃料を再処理せずにそのまま処分(ワンス・スルー)する国では、使用済核燃料そのものが『高レベル放射性廃棄物』となります。ところが、日本では奇妙な定義をしています。

  

経産省は、日本は使用済核燃料の『再処理』をするのだから、最終的に使用済核燃料から分離される高レベル放射性廃液、またはそれをガラスで固めたものだけが『高レベル放射性廃棄物』だ、としているのです。こうした論理は、使用済核燃料は「廃棄物」ではなく価値のある「資産」だということに直結します。実際、電力会社は財務諸表にこれを「資産」としてあげています(9社で2兆円程度の加工中等核燃料に含む)。しかし、国内での再処理めどなど全くたっていません。

  

将来、価値を産まないものは「資産」ではなく「不良債権」です。たとえば、銀行がお金を貸した「債権」は金利を産むので「資産」です。しかし、貸したお金が返ってくるめどがたたなければ、それは「不良債権」です。電力会社の経営は、ゴミを資産化する本来の経営では考えられないことを国家ぐるみでやっているのです。

  

経産省はこの論理によって、ガラス固化体貯蔵管理中1,664本としていますが、原子力発電環境整備機構は、「2011年12月末までの原子力発電に伴って生じた使用済核燃料を、全て再処理しガラス固化体にすると、約24,700本(原子力発電所において装荷中の燃料の燃焼分も含んでいます。)になります」と述べています。

  

では、使用済核燃料を再処理しないで廃棄するワンス・スルーにすると、どの程度の「廃棄物」があるのでしょうか。資源エネルギー庁の公表では、使用済核燃料の年間発生量は約900tU程度、2011年9月末現在14,200tUです( tU:ウラン換算量)。量の意味が分かりませんが、小出先生は原爆に換算されています。

 

正しい決算はどうあるべきかの話でも、不良債権の話でもありません。人類が作り出したもっとも危険なもの、手に負えないものを、お金に換算することによってまるで宝物のように仕上げ、私たち国民を欺いているのです。交換価値はありません、あるのは命との交換だけです。気の遠くなるような量、そして狂気の放射線を放ち続ける、原発のゴミ。私たち大人の世代責任は、まず毎年900tUも吐き出す、原発を止めることです。決して再稼働させてはいけないのです。そして、廃炉に持ち込む。少なくとも、少なくとも、そこまでは一緒にやりぬきましょう。(仁)

 

 

 

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